ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】『夜行』森見登美彦 著

小学館(2016)

 

【あらすじ&ひとりごと】

 森見登美彦さんの『夜行』を読みました。

 森見さんの作品は『聖なる怠け者の冒険』を読んで以来の二冊目です。

 きっとまたあの独特の森見節なる言い回しで、読者の口元を綻ばせるような作品なのだろうと思っていましたが、今作品はがらりと変わり、恒川光太郎さんのホラー系ファンタジーを思い出しました。

 

 京都で学生時代を過ごした仲間が再会し、「鞍馬の火祭」を見物に出掛けることになる。

 それは、10年前にも訪れた際、仲間の一人が突然姿を消したことで、もう一度会えるかもしれないという思いを皆抱き、10年ぶりに鞍馬に集まることになった。

 夜が更けるなか、それぞれが旅先で出会った不思議な体験・現象を語り出す。

 そして、銅版画家・岸田道生が描いた48作にも及ぶ、いかにも妖しい画『夜行』が織り成す怪現象に六人の男女が翻弄されていく。

 

 登場人物がそれぞれ語る奇怪なエピソードは、夢か現実か区別のつかない世界観ですが、なかなかおもしろいものでした。

 

 10年前に突然失踪した一人は、いったいどこに消えたのか。

 意外な展開へと物語は進んでいきます。

 この不思議な世界はいったいどちら側なのか。

 

 読後に混乱する頭を整理していると、やはりこれも森見さんのワールドだなあと思えてきます。

 そんな小説でした。

【読書】グリム童話『野ぢしゃ(ラプンツェル)』

『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その8

『野ぢしゃ(ラプンツェル)』〈KHM12〉

 

【あらすじ&ひとりごと】

 昔、あるところに夫婦がいました。

 二人は長い間子供を欲しがっていましたが、やっと望みが叶いました。

 夫婦の家の裏側には、美しい花や野菜がなる立派な畑がありましたが、そこは魔法使いの女のもので、近づくものはいません。

 

 ある日、妻は畑の野ぢしゃ(ラプンツェル)を見て、どうしても食べたくなります。その気持ちが大きくなり、妻はすっかりやせてしまったので、亭主は妻のために野ぢしゃを取ってきてやろうと考えます。

 

 亭主は魔法使いの畑から野ぢしゃを取って来て、妻に食べさせました。妻はおいしくて次の日も食べたくなります。

 

 次の日も亭主は畑に行きますが、目の前に魔法使いの女が立っていました。

 魔法使いは、「ひどい目にあわせてやる」と話すと、亭主は妻が「野ぢしゃを食べなければ死ぬ」と言うと答えると、魔法使いの女は怒りを鎮めて、欲しいだけ野ぢしゃをくれてやるから、妻が子供を産んだら、その子を差し出すようにと話しました。

 亭主は、怖くなって約束してしまいます。

 

 それから妻が子供を産むと、すぐに魔法使いの女が姿を現し、子供にラプンツェル(野ぢしゃ)という名をつけて、連れて行ってしまいました。

 

 その後、ラプンツェルはこの世で一番美しい子供になり、12歳になると、魔法使いの女はラプンツェルを塔に閉じ込めます。

 その塔は森の中にあって、小さな窓が一つあるだけで、はしごもなければ出入りの扉もありません。

 魔法使いの女が中に入る時は、

ラプンツェルラプンツェル、お前の髪をさげておくれ。」

と呼びかけます。

 そうすると、ラプンツェルは黄金色の長い髪の毛をほぐして、下にたらします。髪の毛は12メートルほどあって、魔法使いはそれを登って来るのでした。

 

 それから何年かたち、この国の王子が、塔のそばを通りかかり、ラプンツェルの歌声を聞きます。

 王子は女に会おうと塔に入ろうとしますが、入口はどこにもありません。

 それから王子は、毎日森へ歌を聞きに行きました。

 

 ある日、魔法使いの女がラプンツェルの髪をのぼって塔に入るのを目にします。

 その次の日、暗くなってきた頃に王子は塔のところで、「ラプンツェルラプンツェル、お前の髪をさげておくれ。」と言い、王子は上にのぼって行きます。

 ラプンツェルはびっくりしますが、王子はやさしくラプンツェルの歌に惚れて、ここまで来たことを話しました。

 ラプンツェルは王子に結婚を申し込まれ承諾しました。

 

 そして、ラプンツェルは塔の下へ降りるため、王子がここへ来るたびに絹の紐を一本ずつ持ってきてほしい、それではしごを編んで、はしごができたら下へ降りて、馬に乗せてもらうと話しました。

 

 魔法使いは、このことに気づかなかったのですが、あるときラプンツェルは、魔法使いの女を引っ張り上げるのは、王子よりも重いと話してしまいます。

 魔法使いは怒り、ラプンツェルの長い髪の毛をはさみで切り落としました。それからラプンツェルをどこかの荒れ野に連れ込みました。

 

 ラプンツェルを追い出すと、魔法使いの女は切り落とした髪を塔のてっぺんの窓の鈎へ結びつけます。

 その夜王子が来て、「ラプンツェルラプンツェル、お前の髪をさげておくれ。」と言うと、魔法使いはその髪の毛をぶら下げます。

 王子がのぼると、上にいたのは魔法使いの女で、ラプンツェルにはもう二度と会えないと言われ、王子は悲しくなって、塔から飛び降ります。

 

 命は助かりましたが、からたちのいばらの中に落ち、棘で目をつぶされました。王子は失明して森の中を彷徨います。愛しいラプンツェルを失くし、泣くしかありませんでした。

 

 何年か歩いていたある日。

 ラプンツェルが、自分の産んだ男の子と女の子と一緒に暮らしている荒野へたどり着きました。王子は聞き覚えのある声だったので、その声のする方へ歩いていきます。王子が来ると、ラプンツェルは王子の襟首をつかんで泣きました。

 その涙が2滴、王子の目を濡らすと、目は元通り見えるようになりました。

 王子はラプンツェルを国へ連れて行き、幸せに暮らしました。(要約)

 

 

 魔女は美しいものを束縛したがる欲望がありますね。グリムの他の話でも出てきます。

 あと、ラプンツェルがいつの間に男の子と女の子を産んでいたのでしょう。

 父親については記述がありませんでしたが、他にだれもいないので、王子なのでしょう。グリム童話では、そういった描写はあまりないようです。

 ラプンツェルが、魔女を引き上げるとき、王子よりも重いと言ってしまったことが不幸の始まりでした。余計なことを口にしてはいけません。

 いつもどおりのハッピーエンドでしたが、グリム童話定番の悪者をひどい目にあわせるところがなくて、残念。

岩波文庫(1979)

 

【読書】『戦場のコックたち』深緑野分 著

創元推理文庫(2019)

【あらすじ&ひとりごと】

 

 深緑野分さんの作品を読むのは、『この本を盗む者は』に続いて二冊目です。

 以前、『ベルリンは晴れているか』が気になっていたのですが、大戦終結後の戦争小説ということもあり、手にはしませんでした。

 

 でも、そこにこの『戦場のコックたち』。

 戦争小説とはいっても、コック兵としての視点から描かれるものと期待して読みました。

 でも当然ながら、戦争の残酷さは描かれ、胸が苦しくなって序盤はなかなか読み進められませんでしたが、戦線の中に次々と起こるミステリ、青年兵たちの友情と葛藤が描かれ、とても読み応えのある作品でした。

 

 舞台は第二次世界大戦ヨーロッパ戦線。

 17歳で合衆国陸軍の特技兵(コック)として志願し、ノルマンディ上陸作戦に戦線した主人公・ティムの語りで物語は進みます。

 心優しく、戦場で起きるいくつかの奇妙な出来事に見舞われながらも、そこで出会った仲間たちとともにヨーロッパ戦線を駆けていく。

 

 徐々に戦地の凄惨さが増していく様は、青年兵たちとともに、私も戦争に引きずりこまれていくような心地になりました。

 

 仲間を失うたびに、優しいティムの心が変わっていきますが、周囲の仲間によって大切なことに気付かされます。

 そして、死んだ仲間の遺品を身につけ、仲間と離れた寂しさを感じる様は、戦争が奪うものの大きさと無意味さを改めて感じ苦しくなりました。

 

 終戦後、ティムに宛てられた死んだ仲間からのそっけないたった一文の遺書が明かされます。

 そして、大切に抽斗にしまったその仲間の遺品が消える。

 最後にぐっとくるものがありました。

 

【読書】『さようなら、オレンジ』岩城けい 著

筑摩書房(2013)

【あらすじ&ひとりごと】

 

 岩城けいさんの作品は初読みです。

 大学卒業後、単身渡豪された作家さんです。

 本書は少し前に書かれたものですが、太宰治文学賞などを受賞され、芥川賞候補にもなったとのこと。

 在豪中のご自身のご経験から書かれた作品ではないかと思われます。

 

 アフリカ難民の女性が異国の地で夫に逃げられ、精肉作業場で働きながら2人の子を育て、異郷で強く逞しく新しい生活を切り拓いていく物語です。

 

 オーストラリアに移民し生活する主人公・サリマの生活が描かれ、また「S」という女性が綴る手紙でのふたつの視点から物語は進みます。

 サリマは、母語の読み書きすらままならず、職業訓練学校で英語を学びはじめ、日本人女性「ハリネズミ」と出会うが、ここからふたりの人生が変わっていく。

 

 読み進めるうち、「S」の手紙には「ナキチ」という女性が登場し、これがサリマなのか。

 そして「S」とはハリネズミなのだろうと思い始めますが、最後に意外な事実がわかります。

 

 日本文学において、私が知らないだけかもしれないけど、難民文学はあまり記憶がありません。

 アジアやアフリカの難民問題は、徐々に身近に感じるようになってきたと思いますが、まだまだ日本人にとって縁遠いことかもしれない。

 

 オレンジ色のイメージが生み出す哀しみと温かさ。160頁程度の物語ですが、深い思いが刻まれて、タイトルの思いが印象的でした。

 難民文学のこれからを照らした作品だと思います。

 

【読書】グリム童話集『ならずもの』『兄と妹』

岩波文庫(1979)

『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その7

『ならずもの』〈KHM10〉

【あらすじ&ひとりごと】

 雄鶏と雌鶏のつがいは、山へ出かけ、クルミをたらふく食べた後、歩いて帰るのが嫌になったため、クルミの殻で小さな引き車を作りました。しかし、どちらが車を引いていくかで口喧嘩になります。

 

 しばらくすると、遠くから一羽のカモがやってきて、鶏が自分の山のクルミを無断で食べてしまったことに怒り、襲いかかりましたが、負けてしまい罰として車を引かされます。

 

 走っていくと途中で留め針と縫い針に出くわし、車に乗せて欲しいと頼まれ、乗せます。

 

 夜になり、宿屋にたどり着きますが、宿の主人は、うさんくさい鶏たちの宿泊を渋りますが、雌鶏に産んだ卵とこのカモをあげるからと説得され、泊めてもらうことになります。

 

 翌朝、鶏のつがいは早起きして、くちばしで卵に穴を開けて中身を飲み、殻をカマドへ放り投げ、そして、まだ寝ている留め針と縫い針を宿の主人の椅子のクッションと洗面所の手ぬぐいに刺した後、逃げ出しました。

 カモもその音に目を覚まし、小川に飛び込んで逃げました。

 

 2~3時間後、宿屋の主人が目を覚まし、顔を洗い手ぬぐいで顔をふくと、刺してあった留め針が顔に刺さります。

 慌てた宿屋の主人は、落ち着こうと煙草に火をつけるため、カマドに近づくと、主人の目をめがけてタマゴのカラが弾けて飛んできます。

 そして主人はムシャクシャして椅子に腰を下ろしますが、今度は縫い針が主人のお尻に刺さりました。

 主人は昨夜遅くにきたあの客が怪しいと疑いますがもう遅く、宿にはいませんでした。

 

 宿屋の主人は、さんざん飲み食いしてお金も払わず、いたずらまでしていくようなならずものは二度と泊めないと心に誓いました。(要約)

 

 グリム童話には、ときどきこんな騒動を起こす笑える話があります。

 針が普通に仲間になって、宿屋にいたずらするなんておもしろいですね。

 教訓を考えるなら、「相手の心を見抜け」でしょうか…。

 あまりよい趣味ではありませんが、発散したい人はぜひ。

 

『兄と妹』〈KHM11〉

【あらすじ&ひとりごと】

 兄と妹は、母親を亡くしてから不幸で、継母には毎日ぶたれ、ごはんは残り物のため、家を出ました。

 二人は丸一日歩いて、夜に大きな森に着き、木のほらで眠りました。

 

 次の日、兄はのどが渇いて、水を飲むため二人は小川を探しに出発します。しかし意地悪な継母は魔女で、兄妹が逃げ出した後をつけて、森の小川全部に魔法をかけました。

 

 兄は小川を見つけ水を飲もうとします。しかし妹は水の流れから「この水を飲む者は虎になる」と聞こえるので、兄に飲まないよう言います。兄は我慢し、次の小川まで待つことにしました。

 

 次の小川に来たとき、妹はまた「この水を飲む者は狼になる」と聞こえるので、兄に飲まないよう言います。また兄は、次の泉まで待つことにしました。

 

 そして3番目の小川に着いたとき、妹は「この水を飲む者は鹿になる」と聞こえたので、兄に飲まないよう頼みますが、とうとう水を飲んでしまい、兄は子鹿になります。

 妹は兄に魔法をかけられたことを悲しみ、子鹿と一緒に森の中へと歩いて行きました。

 

 すると、小さな空き家を見つけ生活することにします。

 妹は子鹿のベッドを作り、自分のために根やベリー、木の実を集め、子鹿のために柔らかい草を運びました。兄が人間の姿に戻れれば楽しい生活でした。

 

 しばらくの間、この荒れ野にいましたが、たまたまその国の王様が森で狩を催しました。角笛の音、犬の吠える声、狩人の賑やかな叫び声が木々にこだまし、それを聞いた子鹿は気になって仕方ありません。

 子鹿は妹に、狩に行かせてほしいと言います。あまりに頼むので妹は承知しますが、夜には帰ってくるよう話し、兄だとわかるようにドアをノックしたら「妹よ、入れてくれ」と言ってほしいと言います。

 

 子鹿は外に出て楽しくなりました。王様と狩人はこの子鹿を追いかけ始めますが、捕まえられません。

 子鹿は暗くなると家に帰り、ノックして中に入れてもらいます。

 

 次の日、再び狩が始まり、子鹿はいてもたってもいられず外に出ます。王様と狩人は子鹿に再会すると、追いかけますが、素早いため捕まりません。

 一日続きましたが、夜までには狩人は子鹿を囲み、足を少し傷つけました。子鹿は足をひきずり家に帰りますが、狩人はその後をつけて、合言葉を聞きドアが開けられるのを見ていました。

 そのことを狩人は王様に話すと、王様は明日もう一度狩をしようと言います。

 

 妹は子鹿のケガを見て驚きますが、手当をし、翌朝には痛みはありませんでした。

 そして再び外の音を聞くと、子鹿は我慢できなくなります。妹は、今度は殺される、そうなったら自分はこの森でひとりぼっちになるため外には出さないと子鹿に言います。

 すると子鹿は、僕を悲しみで死なすのか、と言うため、妹が渋々ドアを開けると、子鹿は喜んで森の中へ向かいました。

 

 王様は子鹿を見ると、ケガをさせないように、夜になるまで追いかけるよう狩人に言います。

 太陽が沈んだ頃、王様は狩人に案内され、その森の家へと行きました。そして入口で「妹よ、入れてくれ」と合言葉を言いました。

 するとドアが開き、王様が中に入ると、今までに見たこともないような美しい娘が立っていました。

 

 その娘は、子鹿ではなく金の王冠をかぶっている男を見て驚きます。しかし、王様はやさしく見つめ、手を差し出して、城へ来て妻になってほしいと言いました。娘はお受けしますと答えますが、子鹿が一緒でなければならないと言いました。

 すると王様はずっと一緒で、何不自由させないと言います。そして、そのとき子鹿が帰ってきました。

 

 妹は子鹿を連れ、王様と一緒に家を出ました。王様は妹を城へ連れ、結婚式を行いました。二人は長い間幸せに暮らし、子鹿も大事に世話をされました。

 

 一方、意地悪な継母は、妹は森の野獣に殺され、兄は鹿になって狩人に撃ち殺されたと思っていました。

 今二人が幸せと聞くと、羨ましさと妬みで、二人をもう一度不幸にする方法ばかり考えていました。

 

 時は過ぎ、お妃は男の子を産みました。そこに魔女は女官の姿になり、お妃が寝ている部屋へ入り、入浴の準備ができたと言います。魔女の娘も近くにいました。

 二人は子を産んで弱っているお妃を浴室に運び、風呂に入れ、ドアを閉め逃げます。浴室は熱いので、お妃は窒息してしまいました。

 

 ことが終わると、魔女は自分の娘を連れて行き、頭巾をかぶせ、お妃の代わりに寝かせました。

 そして片目のない醜い娘をお妃の姿形に変えます。王様には見えないように目がない方を下にして寝ることにしました。

 

 夜になって王様が戻り、息子が生まれたことを聞くと喜びます。そして妻の様子を見ようとしますが、魔女は王様を止めます。王様は立ち去り、偽者の妃がベッドに寝ていることに気付きません。

 

 しかし真夜中、子ども部屋の脇で寝ずの番をしていた乳母が、ドアを開けて本当のお妃が入ってくるのを見ました。

 お妃は息子を抱き上げ、乳を飲ませ、寝かしつけます。また子鹿も忘れずに寝ている場所へ行き、背を撫でてお妃は出ていきました。

 

 翌朝、乳母は衛兵に尋ねますが、夜中宮殿には誰も入っていないと答えます。

 お妃は何日も夜に来ますが何も話さず、乳母もそのことを誰にも言いませんでした。

 

 しばらく過ぎたとき、お妃は息子と子鹿に話しかけるようになりました。「何してるの?私が来るのはあと二回だけ」と。

 乳母はお妃がまた行ってしまうと、王様のところへ行き、話しました。すると王様は明日の夜は自分が見張りをすると言います。

 

 夜になって、王様は子ども部屋に行きました。そして真夜中にまたお妃が現れ、「何してるの?私が来るのはあと1回だけ」と言いました。そして息子に乳を与えます。

 王様はあえて話しかけず、また次の夜に見張りをしました。すると彼女は同じように「何してるの?私が来るのは今夜きり」と言います。

 すると王様は我慢できなくなり、お妃に「お前は私の愛する妻だろう?」と言うと、お妃は「私はあなたの妻です」と答えました。

 すると、お妃は神様のお恵みで再び生命を受け元気になりました。

 

 それからお妃がすべてを話し、王様は魔女と娘を裁判にかけ、有罪としました。娘は森で野獣に引き裂かれ、魔女は火に投げ入れられ、焼け死にました。

 魔女が灰になるとすぐ、子鹿は姿を変え、再び人間の姿に戻りました。そして兄妹は生涯一緒に幸せに暮らしました。(要約)

 

 11番目の物語でやっと悪い魔女が登場しました。しかも継母。定番です。

 そして、悪人は罰せられ、兄妹は幸せに。たとえ鹿になっても兄を思う妹の愛がひしひしと伝わります。

 一方、兄は欲に負けてしまったとも言えますが、仕方ないですね。

グリムのこのお決まりの展開が心地よいです。