ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

2026-01-01から1年間の記事一覧

【読書】霜月 流『遊廓島心中譚』―― 幕末の遊廓を舞台にした異色のミステリ

【あらすじ&ひとりごと】 今回読んだのは、霜月 流さんの小説『遊廓島心中譚』(ゆうかくじましんじゅうがたり)(2024) 江戸川乱歩賞を受賞した作品。舞台は幕末の横浜。実在した港崎遊廓(みよざきゆうかく)、通称「遊廓島」を中心に遊女や外国人、その…

【読書】グリム童話『小兎のおよめさん』

『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その74 『小兎のおよめさ〈KHM66〉』 あらすじ(要約) 昔、女が娘と二人でキャベツを作っている畑に住んでいました。 その畑へ小兎がやってきて、冬になるとキャベツを全部食べてしまうのです。 女が娘に「畑に行って…

【読書】松下龍之介『一次元の挿し木』―― 現実か虚構か、転げ落ちるような展開

【あらすじ&ひとりごと】 今回読んだのは、松下龍之介さんの『一次元の挿し木』(2025) 「このミス!」大賞の文庫グランプリ受賞作です。テレビドラマ化もされているようですね。謎にけん引されていくストーリーのおもしろさにはページをめくる手が止まり…

【読書】東野圭吾『あなたが誰かを殺した』—― 嘘を見抜き、真相へ導く

【あらすじ&ひとりごと】 今回読んだのは、東野圭吾さんのミステリ小説『あなたが誰かを殺した』(2023) 刑事・加賀恭一郎が活躍する人気シリーズの一作。最後まで気の抜けないミステリです。 今回の舞台は、裕福な人々が集まる閑静な別荘地。夏のある夜、…

【読書】グリム童話『千びき皮』

完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その73 『千びき皮〈KHM65〉』 あらすじ(要約) 昔、王様には黄金色の髪の妃がいて、世界中探しても同じくらい美しい人はいませんでした。 ところが、妃は病にかかり、王様に「私の死後、結婚するなら私と同じくらいきれ…

【ひとりごと】明日は迎え盆 ― 新盆を迎える

【ひとりごと】 明日は迎え盆。 母にとって初めてのお盆、新盆を迎える。 昨日、お世話になった葬儀屋さんが来て、盆棚をつくってくれた。 母の位牌だけではなく、父、そして祖父母の位牌も盆棚に移され、お盆の間もみんな一緒に過ごせるようだ。 生花や果物…

【読書】土屋うさぎ『謎の香りはパン屋から』―― パン屋の香りに包まれた「日常の謎」

【あらすじ&ひとりごと】 今回読んだのは、土屋うさぎさんの小説『謎の香りはパン屋から』(2025) 「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。五つの連作短編です。 それぞれパンにまつわる小さな出来事や人間関係の違和感を題材にした「日常の謎」が描かれ…

【読書】吉田篤弘『月とコーヒー』―― 月明かりの余韻に包まれる24の物語

【あらすじ&ひとりごと】 今回読んだのは、吉田篤弘さんの小説『月とコーヒー』(2019) 本作は、一話がおよそ4,000文字、原稿用紙10枚ほどの短い物語が24編収められた短編集です。 一話一話独立した作品でありながら、どこか同じ世界の空気をまとい、静か…

【読書】グリム童話『黄金のがちょう』

完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その72 『黄金のがちょう〈KHM64〉』 あらすじ(要約) 昔、男に三人の息子がいました。末の子は抜作といって人に馬鹿にされ、人並みの扱いを受けませんでした。 一番上の兄が森へ入ろうとしたとき、母が上等なお菓子とぶ…

【ひとりごと】東野圭吾さんの訃報に接して

【ひとりごと】 小説家・東野圭吾さんが大腸がんのため68歳で逝去されました。 これまでに発表された作品は106作、国内累計発行部数は1億900万部とのこと。 3年前には著作100冊を達成し、同年には日本のミステリー界を牽引してきた功績が認められ、紫綬褒章…

【ひとりごと】「ドラゴンクエスト」ウインドオーケストラコンサートを鑑賞 吹奏楽による「ドラゴンクエストⅣ.Ⅴ.Ⅵ」

【ひとりごと】 池袋・東京芸術劇場で開催された「ドラゴンクエスト」シリーズⅣ~Ⅵのオーケストラコンサートを鑑賞しました。 すぎやまこういちさんが生み出した名曲の数々に、ゲームの全シリーズをクリアした当時の思い出がよみがえり、あっという間の2時…

【読書】野宮 有『殺し屋の営業術』―― 営業力は人を救うのか、殺すのか

【あらすじ&ひとりごと】 今回読んだのは、野宮 有さんの江戸川乱歩賞受賞作『殺し屋の営業術』(2025) 選考では、審査員全員から高い評価を受け、他作品を寄せ付けない圧倒的な支持を集めたという話題作。 ユーモラスな設定とは裏腹に、物語は次第にダー…

【ひとりごと】菩提寺を離檀した話 ― 20万円の離檀料、最後は住職の一言に救われた ―

【ひとりごと】 母の四十九日法要と納骨を終え、一つの区切りを迎えたが、まだ大切なことが残っていた。 我が家は、菩提寺と墓地のある寺院が別。 祖母が亡くなってから、父、そして今回母と、長年お世話になってきた菩提寺で葬儀や年忌法要、お盆の棚経など…

【読書】東野圭吾『魔女と過ごした七日間』ー 羽原円華はやはり“魔女”だった ー

【あらすじ&ひとりごと】 今回読んだのは、東野圭吾さんの小説『魔女と過ごした七日間』(2023) 『ラプラスの魔女』『魔力の胎動』に続く第三弾。 AI監視社会という現代的なテーマと、羽原円華の「魔女」としか思えないような力が絡み合って一気読み必至…

【読書】グリム童話『三枚の鳥のはね』

『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その71 『三枚の鳥のはね〈KHM63〉』 あらすじ(要約) 昔、王様に王子が三人いました。そのうちの二人は利口でしたが、三番目はあまり口もきかず、間抜けだったので抜作と言われていました。 王様は年とって体が弱くな…

【読書】阿部暁子『カフネ』ー 読む人の心をそっと撫でる小説 ー

【あらすじ&ひとりごと】 今回読んだのは、阿部暁子さんの小説『カフネ』(2024) じんわりと温かさの残る作品。 冒頭は「弟の不審死」という幕開け。ミステリーなのか、事件の真相を追う作品なのかと思わせます。ところが違いましたね。本屋大賞受賞作、納…

【読書】グリム童話『蜂の女王』

『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その70 『蜂の女王〈KHM62〉』 あらすじ(要約) 二人の王子が危なくて面白いことをやりたくて旅に出ましたが、だらしのない生活をしてて戻って来ませんでした。末の王子・呆助は、兄たちを探しに行きました。 兄たちを…

【読書】寺地はるな『世界はきみが思うより』ー 誰かとつながることで景色が見えてくる ー

【あらすじ&ひとりごと】 今回読んだのは、寺地はるなさんの『世界はきみが思うより』(2025) 大阪を舞台にそれぞれ生きづらさや心の傷を抱えた人たちが少しずつ繋がっていく連作長編です。 ある出来事から他人のつくった料理を食べられなくなった高校生・…

【読書】青山美智子『人魚が逃げた』

【あらすじ&ひとりごと】 今回読んだのは、青山美智子さんの小説『人魚が逃げた』(2024) 本作は銀座を舞台にした五つの連作短編。自分らしく生きるために殻を破る人たちを描いた物語です。 ある週末、銀座で「王子」と名乗る青年が「人魚が逃げた」と言い…

【読書】麻宮 好『月のうらがわ』

【あらすじ&ひとりごと】 今回読んだのは、麻宮 好さんの小説『月のうらがわ』(2023) 江戸・深川の長屋を舞台にした人情時代小説です。 子どもたちの真っ直ぐな思いと、大人たちが抱える悲しみが静かに交差する温かな物語でした。 母を亡くした13歳のお…

【ひとりごと】手書きのレシピメモ

【ひとりごと】 きょう、母の49日法要を無事に終えることができた。 49日までの間、昼間ひとりで過ごしていると、母が元気だった頃のことや、余命を知ってからの日々を何度も思い返していた。 後悔ではないけど、間違いはなかったのかな――そんなことばかり考…

【読書】グリム童話『水のみ百姓』

『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その69 『水のみ百姓〈KHM61〉』 あらすじ(要約) 昔、金持ちの百姓ばかり住む村がありました。貧乏な百姓は一人だけ、皆は水のみ百姓と言っていました。 水のみ百姓は牝牛一頭も持たず、おかみさんは欲しくてたまりま…

【読書】櫻田智也『失われた貌』 ー 真実はだれの貌を奪ったのか ー

【あらすじ&ひとりごと】 今回読んだのは、櫻田智也さんのミステリー小説『失われた貌』(2025) 山奥で発見された”顔のない死体”から始まる警察ミステリーです。人間ドラマを味わえる作品でした。 遺体は顔を潰され、歯を抜かれたうえ、両手首まで切断され…

【読書】町田そのこ『宙ごはん』ー 誰かのために作るごはんが、人をもう一度生かしていく ー

【あらすじ&ひとりごと】 今回読んだのは、町田そのこさんの『宙ごはん』(そら ごはん)(2022) 二人の母を持つ少女・宙(そら)の成長を描いた温かくも切ない物語。町田さんらしい”人の痛みと再生”が丁寧に描かれた作品でした。 育ての母と産みの母、二…

【読書】グリム童話『二人兄弟』

『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その68 『二人兄弟〈KHM60〉』 あらすじ(要約) 昔、金持ちと貧乏人の兄弟がいました。金持ちの方は金細工師で悪い人でした。貧乏人の方は箒作りをして、善良で正直者でした。貧乏人には双子の兄弟の子どもがいました…

【読書】鞠目『お客様が不在の為お荷物を持ち帰りました。』ー 不在通知が呼ぶもの ー

【あらすじ&ひとりごと】 今回読んだのは、鞠目さんの小説『お客様が不在の為お荷物を持ち帰りました。』(2025) 「荷物の不在通知」をきっかけにした連作ホラー短編です。日常の小さな不在がじわじわ恐怖へと変わる構造が効いています。 宅配業者が残して…

【読書】楊 双子『台湾漫遊鉄道のふたり』ー 苦い歴史とやさしい食卓・台湾を巡るふたりの旅 ー

【あらすじ&ひとりごと】 今回読んだのは、楊 双子さんの小説『台湾漫遊鉄道のふたり』(2023) 1938年、日本統治下の台湾を舞台にした鉄道旅の物語です。”ふたり”が、各地を巡り、地の料理を味わう、微笑ましい作品でした。 日本人作家・青山千鶴子は講演…

【読書】犬丸幸平『最後の皇帝と謎解きを』ー 読後に少し切なくなる歴史ミステリー ー

【あらすじ&ひとりごと】 今回読んだのは、犬丸幸平さんの小説『最後の皇帝と謎解きを』(2026) 1920年代の紫禁城を舞台にした歴史ミステリーです。清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀の史実と組み合わさり、時代背景をきちんと盛り込んだユニークなミステリー…

【読書】グリム童話『フリーデルとカーテルリースヒェン』

『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その67 『フリーデルとカーテルリースヒェン〈KHM59〉』 あらすじ(要約) フリーデルという男とカーテルリースヒェンという女は、結婚して間もない若い夫婦でした。 フリーデルは「畑に行ってくるよ。戻ってきたら、肉…

【ひとりごと】うな重と手巻き寿司

ようやく母の葬儀が無事に終わった。旅立ってから5日目の今日。 昨年末に病気がわかったときは、高齢でもあったので、もう少しゆっくり時間が流れていくだろうと思っていたけど、その時間は思いのほか、はやく過ぎていった。 母の希望どおり、家族だけで静か…