ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】グリム童話『狼と七匹の子やぎ』『忠臣ヨハネス』

『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その4

『狼と七ひきの子やぎ』<KHM5>

【あらすじ&ひとりごと】

 お母さんやぎと7ひきの子やぎがいました。

 ある日、お母さんやぎが森へ食べ物をとりにいくため、7ひきの子やぎを呼び寄せ言い聞かせました。

 「お母さんは森へ行くから狼に気を付けるんだよ。うちに入ってきたらみんな食べられてしまう。狼は形を変えてくるけど、声はしゃがれ、足は真っ黒。すぐに見分けがつきますよ」と。

 

 子やぎたちも「気を付けるから心配しないで」というので、お母さんやぎは安心して出かけました。

 

 するといくらもたたないうちに、戸を叩くものが来て、「母さんですよ。お土産をもってきたよ、開けておくれ」と呼ぶ声がします。

 でも呼ぶ声がしゃがれていたので、子やぎたちは戸を開けません。

 

 次にまた、白墨を食べて声を良くした狼が「母さんですよ。お土産をもってきたよ、開けておくれ」と言いますが、真っ黒な前足が見えたので、子やぎたちはまた戸を開けません。

 

 最後に狼は、足にパン粉を付け白い粉を振りまいて白くし、やぎのうちの戸を叩きます。すると子やぎは狼に足を見せるように言いますが、足が白かったため戸を開けてしまいます。

 

 子やぎたちは、机の下や寝床の中、置きストーブの中、台所などに逃げ込みますが、狼に捜し出されすべて丸飲みにされてしまいます。

 

 お母さんやぎが帰ってくると、家の中がバラバラで子やぎがどこにも見当たりません。しかし、お母さんやぎが呼んでみると、時計の中に隠れていた末っ子やぎだけが狼から見つからず助かりました。(要約)

 

 結局、お腹いっぱいの狼は草原で寝ているところを母やぎにお腹をはさみで切られ、子やぎたちは助かります。変わりに狼の切られた腹には石を詰められ、泉で水を飲む際その重さで溺れ死んでしまいます。

 

 このお話は有名で私も読んだことがあります。ここでいう戒めはなんでしょう。今の時代もいろいろな訪問者がいます。

 むやみやたらと玄関を開けたりできません。インターホンや防犯カメラは必須でしょうか。

 

『忠臣ヨハネス』<KHM6>

【あらすじ&ひとりごと】

 王様の忠臣であるヨハネスは、王様の臨終の床で息子のことを頼まれ、命をなげうってまでも忠義を尽くすと王様に約束します。

 

 王様は息を引き取る直前、ヨハネスに「王子には城の中すべてを見せてやってほしい。ただし、長い廊下の先の小部屋は見せてはいけない」と言い残す。

 そこには、「黄金の屋根の国」の王女の立像があり、それを王子が見ると恋心を抱き気絶するという。

 

 王様の死後、ヨハネスは若き王様を城内の部屋に案内するが、絶対見せてはいけない小部屋を見られてしまい、そこには美しい王女の立像があり、目に入ったとたん王様は気を失ってしまいます。

 

 若き王様は、たちまち王女に惚れてしまい、ヨハネスとともに「黄金の屋根の国」に出向きます。

 

 二人は商人の振りをして王女に近づき、たくさんの金を見せて喜ばせ、船にはたくさんの金の品々があると言い、王女を船へと招き、連れ去ってしまいます。

 

 航海の中、ヨハネスは3羽のカラスが話しているのを聞きます。

 1羽のカラスは、「陸に着くと馬がくるが乗ってしまうと駆け出して消えてしまい、二度と会えなくなる。助かる方法はだれかが馬を撃ち殺すこと」と言います。

 

 また2番目のカラスは、「城に入ると花婿用の下着が用意されていて、それを着ると骨の髄まで焼かれてしまう。助かる方法はだれかがそれを燃やしてしまえばいい」と言います。

 

 そして、3番目のカラスは「婚礼のあと、舞踏が始まり王女様が踊り出すが、倒れてしまう。助かる方法はだれかが王女様の右の乳房から血を3滴吸い取り吐き出すこと」という。

 

 もしこれらのことを王様に話すと、話した者は石になるとカラスは話します。

 

 ヨハネスは、王様のためにこれらのことすべてを自分で対処します。

 しかし王様は怒り、ヨハネスを投獄し、死刑の判決を下します。

 

 最後にヨハネスは死刑台で王様に真実を伝え、王様から恩赦を与えられますが、ヨハネスは石になってしまいます。

 

 その後、王様には双子の息子ができました。

 石になったヨハネスを見て悲しむ王様にヨハネスは、「あなたが一番愛しているものを捧げてくださるなら私は生き返る」と言いました。

 王様は、子どもたちの首をはねて捧げると、ヨハネスは命が戻ります。そしてヨハネスが子どもたちの首を付けて、その傷口に血を塗ると生き返りました。(要約)

 

 このお話は読んだ記憶がありません。

 最後に真実を伝え、石になるヨハネスの誠実さが大きな魅力でしょう。

 信じてくれる人には最後までしっかりと忠義を尽くす。そしてそれに応える。

 人間にとって信頼関係は大切ですね。

岩波書店(1979)