ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】グリム童話『野ばら姫』

『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その54

『野ばら姫〈KHM50〉』

あらすじ(要約)

 昔、王様とお妃がありました。

「なんとか子供が一人欲しい」と毎日言っていましたが、いつまで経っても子供はできません。

 あるとき、お妃が水を浴び清めているところへ蛙が一匹這い上がってきて「お妃様の願いは叶います。お姫様が産まれるでしょう」と言いました。

 

 お妃は女の子を産みました。お姫様は美しかったので、王様は嬉しくて祝宴を催すことになりました。

 王様は親戚や友達、神通力を持った女たちまで招きました。神通力を持った女は、この国に13人います。しかし、その女たちの食事に使う金の皿は12枚しかないので、1人だけは呼ばれません。

 宴会は催されご馳走がすむと、神通力を持った女たちは、赤ん坊のお姫様に贈り物をしました。1人は美徳、1人は美しさ、3人目は富、といった具合に願わしいものを贈りました。

 こうして11人がそれぞれ呪文を唱え終わったとき、13人目の女が入ってきました。この女は祝いに呼ばれなかった仕返しをするつもりで「お姫様は15歳になると、つむに刺されて死ぬことだよ」と声を張り上げ、大広間を出てしまいました。

 12人目の女が現れました。この女はまだ自分の祈願を言わずにいたのですが、この不吉な呪いを解くわけにはいかず、その力を和らげることしかできないので、「お姫様は死ぬのではない。百年の間、眠り続ける」と言いました。

 王様は、国中のつむを一つ残らず焼いてしまえと命令を出しました。

 

 お姫様は、神通力の女たちの授けてくれたものがその通りに現れたので、美しくて親切で、ものわかりがよく、誰もがかわいがりました。

 ところが、お姫様が15歳になった日、王様とお妃は留守で、一人城で留守番をすることになりました。城の中を歩き回って、最後に古い塔に行きあたりました。階段を上がると、戸へ出ました。鍵が差さっていました。回すと戸が開き、部屋の中につむを手にしたお婆さんが、麻を紡いでいます。

「お婆さん、何してるの?」

「糸をとっております」

「それなに?ぐるぐる跳ねまわってるもの」

 お姫様は、つむを手に取り紡いでみようとしました。その途端、いつぞやの呪いの言葉が本当になって、指をつむで突いてしまいました。そのとき、お姫様は寝台の上に倒れ、寝てしまいました。

 この深い眠りは、お城中に広がりました。王様たちはその時帰って来て、広間で寝てしまいました。宮中の人たちも一人残らず眠ってしまいました。こうなると、馬も犬も鳩も、蝿も寝てしまいました。それどころでなく、かまどの火は音がなく寝込み、焼肉は焼き音をやめてしまいました。料理番も寝てしまい、風は凪いで城の木の葉っぱも動かなくなりました。

 城の周りには野ばらが生垣のようになって伸び出し、全体を取り巻き、それでも伸びて、城は何も見えなくなってしまいました。

 

 眠っている美しい野ばら姫の伝説が広がりました。野ばら姫とは、お姫様につけられた名前です。この話を聞いた王子たちが時々やってきて、お城に入ろうとしましたが、うまくいきません。野ばらが引っ掛かり、からだを抜くことができず、むごい死に方をするのでした。

 何年もたってからのこと、ひとりの王子がきて、どこかのお爺さんから野ばらの生垣の話を聞きました。生垣の後ろは城があって、中には野ばら姫という名の美しい王女が100年眠り続けている、王様もお妃も家来たちも眠っているというのです。

 これを聞いて「私は怖くない。美しい野ばら姫に会って来る」と言い、善人の年寄りは止めましたが、王子は聞きません。

 ところが、この時100年の年月が過ぎ、野ばら姫が目を覚ます日がきていたのです。

王子が野ばらの生垣に近寄った時には、刺は大きな花ばかりで、ひとりでに入口を開け、かすり傷一つつけず王子を中へ通してしまうと、入口はまた塞がり元の垣根になりました。

 庭には馬や犬が転がって眠っているのが目に付きました。屋根の上には鳩が頭を翼の下に突っ込んでいました。中に入ると、蝿は壁にとまって寝て、台所の料理番や下働き、下女も今でも同じ姿勢でした。

 広間には家来が転がって寝て、玉座の近くに王様とお妃が横になっていました。

 それからさらに奥に入っていきました。王子は例の塔に来て、野ばら姫の眠る部屋の戸を開けました。野ばら姫は横になっていました。あまり美しいので、王子は目を背けることもできず、姫にキスしました。

 王子の唇が姫の体に触った途端、野ばら姫は目を開けました。眠りから覚めて王子を眺めました。二人は塔を下りました。そうすると、王様、お妃、家来たちが目を覚まして、お互いに眺め合いました。

 庭の馬は胴ぶるいし、犬は尻尾を振る、鳩は野原へ飛んでいく、蝿は這い出す、台所の火は燃え上がり、焼肉は焼き音を出す、料理番、下働き、下女も動き始めました。 

 それから、王子と野ばら姫の婚礼の式が挙げられ、二人は幸せに暮らしました。

ひとりごと

 これは『眠れる森の美女』、『いばら姫』とも言われていますね。

 お姫様が長い眠りにつく、という物語はとても多いですよね。

 悲劇の原因は、13人の魔女のうち1人だけ祝宴に招かなかったこと。金の皿はなぜ12枚しかなかったのかな。「13」という数字が不吉だからですかね。

 それにしても1人だけ招かれなければ、それはおもしろくないですよね。呪ったりはしませんけど。

 ペロー版のお話では、このあとダークなエピソードの続きがあるようですね。