『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その71
『三枚の鳥のはね〈KHM63〉』
あらすじ(要約)
昔、王様に王子が三人いました。そのうちの二人は利口でしたが、三番目はあまり口もきかず、間抜けだったので抜作と言われていました。
王様は年とって体が弱くなり、どの王子に国を継がせたらよいのかわかりませんでした。
王様は王子たちに「旅に出て、一番上等の絨毯を持って帰った者をわしが死んだあと王にする」と言いました。
王様は三人を城の外へ連れ出し、鳥の羽毛を三枚空へ吹き飛ばして「この鳥の羽の飛んでいく方に行け」と言いました。一枚の羽は東に、もう一枚は西に飛んでいきましたが、三枚目は地面に落ちました。
一人の兄は右へ、もう一人は左へ行きました。抜作は、三番目の羽が落ちたところにいるしかないのです。
抜作は座ってしょんぼりしていました。気付くと、羽のそばに落とし戸があります。その戸を上げると、階段があったので下りていきました。戸の前に出て叩くと中で、
「あおいちいさなむすめっこ、梅ぼしばばあよ、うめぼしばばあの犬っころ、梅ぼしあっち行ってこっち行って、てばやく見せなよ、おもてにどなたがおじゃるやら」と呼び立てる声が聞こえました。
戸が開きました。大きな太ったヒキガエルが一匹と小さなヒキガエルがたくさん見えました。
太ったヒキガエルが、何が欲しいのか尋ねました。抜作は「一番上等な絨毯が欲しい」と答えました。
太ったヒキガエルは若いのを一匹呼んで、
「あおいちいさなむすめっこ、梅ぼしばばあよ、うめぼしばばあの犬っころ、梅ぼしあっち行ってこっち行って、おおきな箱をもっておいで」と言いました。
若いヒキガエルは箱をとってきました。太ったヒキガエルはそれを開け、抜作に絨毯を一枚出して、それがきれいなこと。抜作は礼を言って上へ上がっていきました。
兄二人は行き当たりばったりの羊飼いのおかみさんから体につけていたラシャを巻き上げ持ち帰りました。
ちょうどその時、抜作も帰ってきて美しい絨毯を見て、王様はびっくりしました。
「王国は末の息子のものだ」と言いました。しかし、二人の兄は王様を責め立てました。知恵のない抜作がどうして王様になれるかと言い、新しい取り決めを願いました。
王様は「一番立派な指輪を持ってきた者が国を受け継ぐことにする」と言って、また鳥の羽を三枚空中へ吹き飛ばしました。二人の兄は東と西に行きました。抜作の羽は例の落とし戸の脇へ落ちました。
抜作はまた下りていって、一番立派な指輪が欲しいと言いました。ヒキガエルはすぐさま大きな箱を取り寄せ中から指輪を出し、抜作に渡しました。その指輪は宝石できらきら光り、美しいものでした。
兄二人は、車の古い輪から釘を引っこ抜いただけでそれを持って帰りました。
抜作が黄金の指輪を出して見せると、王様は「王国は末の息子のものだ」と言いました。すると兄二人がうるさくせがんだので、王様はとうとう三度目の取り決めを出し、「一番美しい嫁を連れ帰る者に国をやる」と言いました。鳥の羽を三枚空中に吹き飛ばしました。羽毛は前の二度と同じ飛び方をしました。
抜作は太ったヒキガエルのところへ下りて「一番きれいな嫁を連れて帰らないと困るんだ」と言いました。
ヒキガエルは、黄色い蕪をくり抜いたのを六匹のハツカネズミに馬のように轢かせて抜作に渡しました。
抜作は「こんなもの、仕方ない」と言いました。
ヒキガエルは「私の小さなヒキガエルを一匹入れてごらんなさい」と答えました。
抜作は一匹つまみ出して黄色い乗り物の中へ置きました。するとヒキガエルは美しい姫になりました。蕪は馬車に、六匹のハツカネズミは馬になりました。抜作は姫にキスをして、馬車で王様のところへ連れていきました。
兄たちはあとから行き当たりばったりの百姓女を連れてきました。
王様は女たちを見て「わしが死んだあと、国は末の息子のものだ」と言いました。兄二人は大声を張り上げて、「抜作が王様になるなんて承知できません」と騒ぎだし、広間の真ん中に輪をぶらさげて、その輪をうまく飛び越えた女を連れてきた者を跡継ぎにしてほしいと王様にせがみました。
兄たちは「百姓女なら丈夫だからうまくいくだろう。か細い姫は飛び損なって死ぬだろう」と考えました。
王様はこれもお許しになりました。
百姓女二人が跳んでみました。輪を跳び抜けましたが下に倒れて腕と足を折ってしまいました。
それから、抜作が連れ帰った美しい姫が、女鹿のように身軽に跳び抜けましたので、反対のしようがありません。こうして抜作は王様の冠を授かり、長い間立派に国を治めました。
【ひとりごと】
人は心のあり方で決まりますね。そして、他人と同じ道だけが正解ではないし、発想を変えれば道は開けるのかも。
できないと決めつけず、自分なりの道を探すことも大切ですね。
