ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】グリム童話『ハンスばか』

『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その60

『ハンスばか』

あらすじ(要約)

 昔、あるところに王様がいました。一人子の姫と不自由なく暮らしていました。

 ところが、急に姫が子どもを一人産み、誰が父親なのかわかりません。王様は途方に暮れましたが、子どもを連れて教会堂へ行くよう姫に命令しました。

 会堂へ行ったら子にレモンの実をつかませて、それを手渡した者を父親と決めることにしたのです。

 とは言っても、立派な人でなければ会堂へは入れないという命令が出ていました。

 ところが、ちびで、がに股で、せむしの若い男がいました。「ハンスばか」という名がついているのですが、誰にも見つからず会堂へ割り込んだのでした。

 子はレモンの実をハンスばかに渡しました。姫はびっくり仰天し、王様は腹を立て、姫と子、ハンスばかと一緒に樽に入れ海へ流させました。

 樽は泳ぎだし、海上で三人きりになると姫は「汚らしい小僧、おまえのせいだよ。なんでおまえなどが会堂へ割り込んだ。この子はおまえに何の関わりもない」と言いました。

「ところがそうでない」とハンスばかが言いました。「関わり合いがあるのだ。おまえ様に子ができるように祈ったことがあった。おれが祈ると何でもそのとおりになる」

「ならば、食べ物を出しておくれ」

 ハンスは祈ったはいいが、出たものはじゃがいもを盛った皿でした。姫はもっと上等なものが欲しかったのですが、お腹がすいていたのでじゃがいもを平らげました。

「今度は立派な船を祈るか」

 すると、三人は船の中に座っていて、何でも有り余るほどありました。

 それから船からおりると、「今度はあそこに城ができるといいなあ」

 すると立派な城ができました。仕人たちがやってきて城の中へ案内しました。

「今度のお祈りは、知恵のある王子様になることだ」

 すると、ハンスばかのせむしが消え、美男子で気立てもやさしくなりました。姫はお気に召して、姫の殿様になりました。

 

 こうして三人は何不足なく楽しく暮らしていましたが、ある時、父親の王様が遠出して道に迷い、この城にたどり着きました。

 王様は今までこんな城を見たことないので、不思議に思い、中へ入りました。

 姫は、その人が自分の父親だとすぐわかりましたが、王様のほうはわかりませんでした。姫はとうに海で溺れ死んだと思い込んでいたからです。

 姫は王様にご馳走をしました。そして帰りがけに王様のポケットに内緒で黄金の盃を入れました。

 王様が立ち去ろうとしたとき引き留め、黄金の盃を盗まなかったかと聞きました。すると、ポケットの中にその品があったので、王様を連れ戻しました。

 自分は盃を盗んだ覚えはない、どうしてポケットに入ったのかわからない、嘘ではないと王様は姫に言いました。

「人を捕まえて、すぐに罪に落とすようなことはしませんように」と言って、姫は自分が実の娘であることを告げました。

 これを聞くと、王様は喜び、皆一緒に楽しく暮らしました。それから王様が亡くなったあとは、ハンスばかが王様になりました。

 

ひとりごと

 この物語はグリム童話に収録されていた一編ですが、削除されています。

 ハンスさんは、姫が子を産むよう祈ったと言ったけど、教会へ行かせることも計画的だったのかな。自分の身なりには知恵が回らなかったのか。

 一方、姫は父親に再会し立派なことを言いますが、ハンスさんには非常識ですね。外見が変わると手のひら返すしね。

 この物語は少し曖昧ですが、賢く生きられない人間にも、当然生きる価値はある、というメッセージですかね。