ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】グリム童話『へんてこなおよばれ』

『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その43

『へんてこなおよばれ』

【あらすじ(要約)】

 赤腸詰と肝臓腸詰がいました。

 赤腸詰が肝臓腸詰をお客に呼びました。

 肝臓腸詰は表の大戸を入ると、へんてこなものが目に入りました。

 上がり段があるのですが、一つ一つに何かしら違ったものがいるのです。箒と塵取りが殴り合いをしていたり、頭に大けがをしている猿がいたり、そういったものがいるのです。

 

 肝臓腸詰は勇気を出して部屋に入ると、赤腸詰からもてなされました。

 肝臓腸詰は、外の上がり段にいるへんてこなものたちを聞きたいと話を始めました。すると赤腸詰は聞こえないふりや、そんな話はつまらないという様子を見せました。

 箒と塵取りの話が出ると、「それは、あたしの女中だったでしょう、上がり段で誰かとおしゃべりしていた」といった具合で話をそらしてしまいます。

 

 そのうち、赤腸詰は料理が手落ちなくいっているかどうか、台所へ行くと言って部屋から出て行きました。

 その間、肝臓腸詰は、あのへんてこなもので頭が一杯になって、部屋を行ったり来たりしていましたが、そこへ何者かが入ってきて、「肝臓腸詰、気をつけろ。ここは血の池、腸詰殺しの隠れ家だ。急いで逃げな」と言いました。

 

 肝臓腸詰は思案もせず、戸から忍び出て、足の続くだけ駆け通し、やっと立ち止まったのは建物を出て、往来の真ん中へ来てからでした。

 そこまで来て、振り返ってみると、赤腸詰が長い包丁を掴んで、てっぺんの屋根裏部屋の小窓から乗り出して、立っているのが見えました。

 包丁は研ぎたてのようにギラギラ光っていて、赤腸詰は今にも斬りつけそうなかっこうをしながら、

「てめえを取っ捕まえさえすりぁ、ただでおかねぇんだが」と高いところから怒鳴りつけました。

【ひとりごと】

 危ないところでしたね。これも前篇の『名づけ親さん』と同じ〈悪魔もの〉です。

 ソーセージがソーセージを殺し喰ってしまおう、という話ですが、赤腸詰は血入り、肝臓腸詰は肝・腎・肺臓を刻んで詰めたものと注釈。なんか怖くなりますね。

 ただ、ストーリーがよく分からず不完全なので、童話集から削除されたのかもしれませんね。

 気になるのは、警告した「何者」とは誰なのか。内通者か、あるいは先の犠牲者の亡霊かな。