ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】グリム童話『黄金(きん)の鳥』

『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その63

『黄金(きん)の鳥〈KHM57〉』

 

あらすじ(要約)

 昔、王様の御殿の裏に金の林檎がなる木がありました。明朝になると林檎の実が一つ足りないので、王様は番人をつけました。

 王様には三人息子がいて、夜、長男を庭へやりました。王子は眠気を抑えられず、明朝また林檎が一つなくなっていました。

 次の夜、次男が番をしたが寝込んでしまい、また林檎が一つなくなっているのです。

 次は三男に回ってきました。王様はこの息子を信用せず、兄たちより役に立たないと考えました。それでもやることになりました。

 青年は眠気に負けず、一羽の鳥が飛んでくるのが見えました。羽は金でぴかぴかでした。木にとまり、林檎を喰いきったとき青年は矢を射ました。鳥は逃げましたが、矢は翼にあたり、金の羽が一枚落ちました。

 青年はそれを拾い、王様へ持って出て話しました。王様が相談役たちを呼び集めると、皆がこのような羽は一枚だけでも王国全体より価値があると言いました。

「それほどの価値なら、その鳥をまるごとほしい」と王様は言いました。


 長男が旅に出ました。自分は利口だから黄金の鳥を見つけられると思いました。

 森のはずれに狐が一匹見えたので、鉄砲で狙いました。

 狐は「撃ってはいけない。あなたは黄金の鳥のところへ行く途中、ある村に着く。宿屋が向かい合っていて、灯りがこうこうと点いて賑やかな方に泊まってはいけない。見かけが悪いもう一軒の宿に入りなさい」と言いました。

 けれども王子は「わからないケダモノに教えられてなるものか」と考え、鉄砲を撃ちましたが当たらず、狐は森の中へ逃げました。


 王子は宿屋が二軒ある村へ入りました。王子は賑やかな方に入って、飲めや歌えで日を送るうちに、鳥や父親のことなど忘れてしまいました。

 

 時がたち、長男が帰らないので、次男が黄金の鳥を探しに旅に出ました。

 二男も狐と出くわし、狐の言うことを耳に留めませんでした。

 二軒の宿屋に着くと、兄が呼びかけました。二男は断れず、楽しさに溺れて日を送りました。


 また時がたち、今度は末の王子が旅に出ると言いました。

 父親は許そうとしませんでした。

「黄金の鳥を探し出すのは兄たちより下手であろう。あれは賢くないから」と王様は言いましたが、王子がうるさいので旅に出してやりました。


 また狐がいました。良い知恵をかしてくれました。この青年は気のやさしい人でした。

「きつねくん、安心して、どうもしやしないよ」

「後悔させませんから。もっと速く進めるように尻尾へお乗んなさい」

 王子が乗った途端、狐はかけ出しました。切り株や石を飛び越える速さに狐の毛はひゅうひゅうと鳴りました。

 村に着くと狐の忠告に従って、見かけの悪い宿屋で夜を過ごしました。


 明朝、野原へ出ると、もう狐がいて「この先まっすぐ行くと、ある城へ出ます。兵隊は寝ているので気にせず、城の中へ入りなさい。全部の部屋を通り抜けると、黄金の鳥が木のかごに入っている部屋へ入ります。近くに空っぽの黄金のかごがあるが、鳥を粗末なかごから出して、金ぴかの方に入れ替えないように。とんだ目に会います」と言いました。

 城に着くと狐の言ったとおりです。黄金の鳥が木のかごに入っている部屋へ行きました。黄金のかごが並んで置いてあり、例の黄金の林檎が三つ転がっていました。

 王子は、きれいな鳥を粗末なかごに入れておくのはおかしいと、黄金のかごに入れ替えました。

 すると、鳥は耳をつんざくような声をあげました。兵隊たちが目覚め、王子を牢屋へ入れてしまいました。

 明朝、王子は法廷で死刑宣告を受けましたが、王様は、もし王子が風より速く走る黄金の馬をつれてきたら、命を許し、礼に黄金の鳥もやろうというのです。
 王子は出かけました。しょげ返っていると狐がいるのを見つけました。

「私の言うことをきかないから、こんなことに。どうしたら黄金の馬にたどりつけるか教えます。どこまでもまっすぐに行くのです。城に出たら、そこの厩舎にいます。馬丁たちは寝ているので、黄金の馬を引き出せます。でも、鞍は木と皮の粗末なもの選び、金の鞍を選ぶと酷い目にあいます」

 すべてが狐が話してくれたとおりです。厩舎に入り、馬に粗末な鞍をつけようとして「上等な鞍の方が似合う、立派な馬に恥をかかせる」と考え、黄金の鞍が馬に触れたかと思うと、馬はいななき始め、馬丁が目覚め、青年を牢屋に放り込みました。
 明朝、王子は裁判で死刑の宣告を受けました。しかし、もし黄金城の美しい姫を連れてくれば、命を助けて黄金の馬もくれると王様が約束しました。


 青年は旅に出て、狐を見つけました。

「気の毒だから、もう一度救ってあげます。この道を行けば黄金城です。夜が更けると美しい姫が入浴するため浴室に行きます。浴室に入ったら、姫にとびついてキスをする。そうすれば姫はいうなりになって連れ出すことができる。でも連れ出す前に両親に別れをさせてはいけない」

 黄金城に着くと、狐の言ったとおりでした。

 王子は真夜中まで待ちました。美しい姫は浴室へ行きました。それを見て、王子はとび出て、姫にキスしました。

 姫は一緒に行く前に両親に別れの挨拶をしたいと涙を流して頼みました。王子は初め聞き入れなかったのですが、姫が泣き崩れたので根負けしてしまいました。

 姫が父親のところに行くと、王様と城じゅうの者が目覚め、青年は牢屋に入れられました。

 明朝、王様は王子に「貴様の命はない。だが、窓の前に山があって見晴らしが悪い。この山をとりされば、恩赦の途もある。8日以内にやってのけるのだ。うまくいったら娘をやろう」と言いました。
 王子は土を掘り、シャベルですくう。手を休めずにやったが、やらないも同然の有様。気が滅入って望みを捨ててしまいました。

 しかし7日目の晩、狐が現れ「お世話のし甲斐がない人だね。私が代わりにやってあげますよ」と言いました。

 明朝、王子が外を見ると、山は影も形もない。青年は大喜びで王様に申し出ると、王様は約束を守りました。


 王子と姫が立ち去ると、狐が二人の前に出てきました。

「肝心なものは手に入ったけど、黄金城の姫には黄金の馬がつきものなので」

「どうしたら取れるの?」と青年が尋ねました。

「あなたを黄金城に向かわせた王様のところへ、この美しい姫を連れていくんです。喜んで黄金の馬をあげたいと言います。すぐそれに乗って、皆にお別れの握手をなさい。最後に美しい姫ですよ。そして姫の手を掴んだら、 馬の上に引き上げてかけ出すのです。馬は風より速く走るから、誰も追いつけない」

 

 うまくいきました。狐も一緒についてきて「今度は黄金の鳥を手に入れる手伝いもしましょう。鳥のいる城にきたら、姫を下ろしてください。あなたは黄金の馬で城の庭へ乗り込むのです。城の者は大喜びして、黄金の鳥を持って出てきます。そのかごを持ったら、すぐ戻ってきて姫を連れていきなさい」と言いました。

 

 計画はうまくいきました。王子が国へ帰ろうとすると、狐が「今度は私にお礼をください」と言い出しました。

「何がほしいの?」

「あそこの森へ入ったら、私を撃ち殺し頭と足をちょん切ってください」

「そんなことできるわけがない」
「やってくれなきゃ、お別れするほかない。でも、もう一つ申し上げます。首つり台の肉を買ってはいけない、井戸のふちに腰掛けてはいけない」

 こう言うなり狐は森へかけこみました。


 王子は姫と馬を進めて行きました。王子の兄二人が残っている村に入ると、大騒ぎしているので尋ねてみると、罪人が二人、首をくくられるようです。それは兄たちで、悪事をし尽くし、財産も残らず使ってしまったのです。

 王子は放免にならないか尋ねました。

「あんたが身代金を出せばな。なんでこんな悪党に金かけて見受けしなさるのか」と村人が言いました。

 王子は二人を買い取り、一緒に旅を続けました。
 兄弟三人は例の狐に会った森に入りました。森の中は涼しいので、兄二人は「この井戸のそばで休んで飲み食いしよう」と言いました。

 末の弟も賛成しましたが、話しているうちにうっかりして井戸のふちに腰かけました。兄二人は、弟を仰向けに井戸の中へ放り込み、姫と馬と鳥を奪って、父親の元へ帰りました。

 

「このとおり、黄金の鳥、黄金の馬、黄金城の姫を手に入れました」と二人は王様に言いました。

 皆は大喜びでしたが、馬は何も食べません、鳥は鳴きません、姫は泣いてばかりでした。
 末の弟は死にませんでした。井戸は運よく干上がっていたのです。苔の上に落ちて怪我もしませんでしたが、外へ出ることができません。

 当惑しているところに、狐は今度も弟を見放さず跳び下りてきて、忠告を忘れたのかと𠮟りつけました。

「どうしても見殺しにはできない。もう一度日の目を拝ませてあげます」

 狐は尻尾をつかませ、弟を穴から引き上げてやりました。

「兄たちは、あなたが死んだかわからないので、番兵はあなたの姿が見えたら殺してしまえと言いつけられている」と狐が言いました。

 そのとき、貧しい男が道に座っていたので、青年は服を取り替えっこして、王様の御所へ行きました。

 誰も王子とわかりませんでしたが、鳥が鳴きはじめ、馬はカイバを食べ、美しい姫は泣くのをやめました。

 王様は不思議に思い「これはどうしたことだ」と尋ねました。

 すると、姫が「もう悲しくなりません。今はとても嬉しいです。本当の花婿が来たように存じます」と言いました。

 兄たちは、もし姫が秘密を洩らしたら、殺すと脅していたのですが、姫は今までのことを王様に話してしまいました。
 王様は、城にいる全員を連れてくるように命令し、青年もぼろを着た男になって出てきましたが、姫はすぐ見分けをつけ、その人の首に抱きつきました。

 兄たちは捕えられ処刑になり、末の弟は美しい姫と結婚して王様の跡取りに決まりました。

 

 しかし、例の狐はどうなったか。

 ずっと後のこと、王子がまた森に行くと、狐と出くわして「あなたは望むものすべて手に入ったが、私の不幸は終わりにならない。私を救うのはあなたのお力ひとつ」と言いました。

 私を撃ち殺し頭と足を切ってくれないかと、涙を流さんばかりに頼みました。

 王子はそのとおりにしてやると、狐は人間に姿を変えました。それは、美しい姫の兄で、やっとかけられていた魔法から救い出されたのでした。これで、皆の幸せは生きてる間、何一つ欠けるものはありませんでした。

ひとりごと

 忠告を聞くことの大切さ。慢心や欲が判断を曇らせますね。末の王子は、私欲というより、やさしさから招いたことかな。

 でもそれが最後に誠実さとして報われますね。真の価値は心にあります。

 気になったのは、美しい姫を持つ王様。「見晴らしが悪いから山をとりされ」という条件。息子が狐になって行方知れずなら、捜させる方が先ではないかな、と思いましたね。