ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】グリム童話『ながい鼻』

『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その59

『ながい鼻』

あらすじ(要約)

 昔、お暇の出たおじいさんの兵隊三人がいました。恩給もいただかずにお払い箱になったので、乞食でもしなければ生きる道がありませんでした。

 三人は森の中へ入り、日が暮れたので二人はごろ寝をして、あとの一人は寝ずの番をすることに決めました。

 見張り番のところへ赤い着物を着た一寸法師がやってきて、「だれだい、そこにいるのは」と呼びかけました。

「なかよしの友達だよ」

「なかよしだけではわからない」

「お払い箱のじいさん兵隊三人で命をつなぐものが何もないのさ」

 そんならいいものをやる。一寸法師が言い、釣鐘マントをやりました。願掛けするとどんなことでもそのとおりになる。でも夜が明けるまで二人には言ってはいけないと念を押しました。

 夜が明けて、この話をしました。次の晩は二番目が寝ずの番です。一寸法師がやってきて、また同じように呼びかけました。

 そうすると、いくら掴み出してもお金がなくならない財布を兵隊にやりました。

 それから三日目の夜、三番目の兵隊が見張りに立ちました。一寸法師はこの兵隊のところにもやってきて、また同じように呼びかけ、角笛をやりました。これを吹くと兵隊が皆集まってくるのです。

 

 朝になると、一番目がマントを羽織り森から出られるよう願掛けしました。三人は宿屋へ行って食事をし、財布を持っている兵隊がお金を払ってやりました。

 こうなると、三人は旅が嫌になりました。財布を持っている兵隊がマントを持っている兵隊に「おまえが俺たちの御殿を祈ってほしいな」と言いました。

 マント持ちが祈るとすぐさま立派な御殿が出来上がりました。

 

 三人はそのうち、マント持ちが馬車を祈り、よその国へ乗り込もうとします。

 三人はある王様のところにやってきて、姫が一人いました。

 食卓に招かれ、酒盛りのあと、姫とカルタ遊びが始まりました。姫は財布を持っている兵隊を相手にしてお金を巻き上げたのですが、財布が空にならないのを見て、お金が湧き出す財布に違いないと勘づきました。

 それで相手にワインをつぎ睡眠薬を入れました。兵隊は寝てしまい、姫はその財布を取り上げて、そっくりの財布をつくりお金も少し入れ、替え玉にしました。


 あくる朝、三人は旅を続けますが、財布は有り金を使ってしまうと空っぽのままでした。 

「あの王女に財布をすり替えられたぞ」

「俺がじきに取り返してくれる」と、マント持ちが言い、王女の居間へ入りたいと祈りました。

 姫はマント持ちを見て強盗だと騒ぎました。兵隊は慌てて窓から飛び出し、マントを置き忘れてきました。

「助け船ならわしが請け合うぞ」と、角笛持ちが言い、角笛を吹き兵隊をたくさん集めました。使者を出して、財布とマントを返さなければ城をぶち壊して原っぱにしてやるぞと言わせました。

 王様は取ったものを返してやれと姫に言いましたが、聞き入れません。

 姫は、貧乏人のなりをして腰元をお供に飲み物を売りに陣屋に行き、唄をうたいだしました。それがとてもいい声なのでテントから兵隊が一人残らず集まってきて、角笛持ちまで来たので、腰元にテントへ忍び込ませ角笛を盗んで城へ逃げ帰りました。

 

 これで三人は前のように乞食をしなければならなくなりました。

 財布持ちが「三人が三人、いつでも固まっているのは知恵がない」と言い出しました。森の中に入り、林檎の木に実がいくつもなっていました。一つ食べ、もう一つ食べると鼻が伸びてきました。立ち上がることもできません。

 ほかの二人は、三人一緒のほうが都合がいいと別れた友達を探していました。一人が蹴つまずいてぐにゃぐにゃしたものを踏みつけました。人間の鼻でした。

 鼻について行ってみると仲間が身動きできずにいます。森でロバを探し出して担ごうとしても動きません。一休みして辺りを見ると梨の木に実がなっていました。そして、一寸法師が出てきて、この梨を食べさせれば鼻が落ちると教えてくれました。食べさせるとたちまち長い鼻が落ちました。

 一寸法師は「林檎と梨の粉をこしらえてごらん。粉ができたら医者になりすまして姫のとこに行って、林檎を食べさせ粉も飲ませる。鼻がさっきよりもっと伸びるよ」と入れ知恵をしました。


 兵隊は林檎を持って御殿へ行くと、この国に類のない林檎だと言いふらしました。姫は林檎を買ってもらいました。

 さっそく食べてみると、こんなおいしいものは食べたことないと、もう一つ食べました。すると、姫の鼻が伸びはじめ、椅子から立ち上がれず転げ落ちました。身動きもできず、医者の手の下しようがありません。

 王様はおふれを出しました。姫を助けてくれる者がいれば金をたくさんやるというのです。

 おじいさん兵隊は医者だと言って名乗り出ました。姫に林檎の粉を飲ませました。鼻はまた伸び出して太くなりました。

 日が暮れて、梨の粉を飲ませると少し小さくなりました。その次の日、また林檎の粉を飲ませました。姫をこっぴどく苦しめて罰を加えてやるためです。

 医者は「姫様は人のものをお取りになったことがあるにちがいない。それを返さなければ手の下しようがない」と言いました。

「そんなことありはしない」と姫は剛情をはりました。

「さもなければ私の粉薬が効かないはずがない。それを潔く返さなければ鼻なが病でお隠れになる」と医者も負けていません。

 王様が「財布とマント、角笛を出しなさい。それは盗んだものだ。さもないと鼻はいつになっても小さくならないぞ」と言ったので、腰元は三品を医者の前に並べました。

 そこで姫に梨の粉薬を飲ませると鼻が落ちました。

 

 医者に化けた兵隊は財布とマントと角笛を土産にして仲間のところへ行きました。三人は例の願掛けをして、自分たちのもとの御殿に入りました。今でもその御殿でのんびり暮らしているのだろうと思います。

ひとりごと

 この物語は、童話集から削除された33編のうちの一つです。内容がグロテスクだからなのでしょう。

 国の欲深い人と、手当もなく見捨てられる人。現代の政治家と国民を見ているようで憂えますね。小人が現れてほしいですね。