『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その64
『白はと』
あらすじ(要約)
王様の御殿の前に梨の木がありました。毎年見事な実を結びましたが、一晩のうちに誰かに持って行かれてしまいました。
王様には若様が三人いて、末のは、脳みそが足りないという評判で「ばかさま」と名がついていました。
王様は一番上の王子に一年間、梨の木の見張り番をするよう言いつけました。
やがて実は鈴なりになりました。熟しはじめ、明日にはもぎ取るまできましたが、眠くなって寝てしまいました。目が覚めたときには、実は一つもありませんでした。
王様は二番目の王子に一年間見張り番を言いつけました。
これも眠気を防ぎきれず、朝になると梨は一つも残らず、もぎ取られていました。
王様は、とうとう「ばかさま」に言いつけました。
ばかさまは、最後の晩も眠気を払い、白い鳩が梨を食いちぎって持って行くのを見ました。ばかさまは付いていき、鳩は高い山の上に飛び上がって、岩の割れ目の中へ消えてしまいました。
「神様のお恵みがありますように」と、ばかさまが声をかけると、
「お恵みがありましたよ、あなたのそのご挨拶のおけげで」と、一寸法師が返事をしました、「と言うのは、今のお言葉が私を救い出してくれたのです。この岩の中に降りてごらんなさい、いい運が転がってます」
ばかさまは岩の中へ降りると、さっきの白鳩が蜘蛛の巣に巻き込まれていました。
ところが、鳩はばかさまを見た途端、蜘蛛の巣を突き破り、美しい王女が目の前に立ちました。ばかさまが救い出した姫様です。
それから、ばかさまのお妃になって、ばかさまが金持ちの王様になって、ばかどころではなく、本当の聖者の道にかなうように国を治めました。
ひとりごと
白い鳩は、平和の象徴と知られていますが、「ノアの方舟」でも登場したように希望や誠実という意味合いもありますね。
ストーリーは、『黄金の鳥』と類似しています。メルヘン番号が付されていないので、そういったことからも童話集から削除されているのかもしれませんね。
王子が神に願ったことで王女が救われました。やはり誠実でいることは大切です。
