ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】グリム童話『ヘンゼルとグレーテル』

『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その11

ヘンゼルとグレーテル』〈KHM15〉

 

【あらすじ(要約)】

 どこかの大きな森の入り口に貧しい木こりの夫婦とヘンゼルとグレーテルという名の兄妹が住んでいました。

 

 生活は苦しく、パンすら手に入らなくなり、ある夜、ヘンゼルとグレーテルは、母親が父親に「もう食べるものがない。明日、森へ出かけて、子どもたちを置き去りにしよう」と話すのを聞きます。

 泣くグレーテルにヘンゼルは何とかするからと冷静に言い、庭の白い小石をたくさん集めます。

 

 翌日、子どもたちは森に置き去りにされますが、ヘンゼルが家から小石を落として目印をつけていたおかげで、家に戻ることができました。

 母親は怒りますが、父親は喜びました。

 その夜、また母親が子どもを森に置き去りにすると話していました。

 

 翌朝、ヘンゼルは集められなかった小石の代わりに、残しておいたパンをちぎり、道に落としていきます。

 

 夜になり月明かりでパンを辿って帰ろうとしますが、パンは鳥たちに全て食べられていました。

 そして、森の中を歩き続けると、おいしそうなお菓子の家が現れました。

 二人がそのお菓子の家を食べていると、いきなり入り口の戸が開いて、年をとった婆さんが虫が這うように出てきて、二人を家へ招き入れました。

 

 翌朝、婆さんはヘンゼルをつかみ、家畜小屋に閉じ込め、グレーテルにはヘンゼルに与えるための料理をするよう命じます。

 昨夜の婆さんは、子どもたちを騙し、太らせて食べてしまう魔女でした。

 

 一ヶ月間、魔女はヘンゼルの指を毎日触って確認しますが、痩せっぽちのままです。

 ヘンゼルは、目の悪い魔女を欺くために、食事の時に出てきた骨を魔女に触らせていたのでした。

 

 痺れを切らした魔女は、ヘンゼルをかまどで焼いて食べることにします。

 魔女はかまどを準備するようグレーテルに言いますが、やり方がわからないと話します。

 そして、魔女が熱いかまどの中に頭を入れた瞬間、グレーテルは魔女の背中を押し、かまどの中へ転がると、鉄の扉を閉めてかんぬきをしっかりとかけました。

 叫び声を上げた魔女は、かまどの中で焼け死にました。

 

 ヘンゼルとグレーテルは魔女の家にあった宝石をポケットに詰めこんで、森を抜け家に帰ります。

 父親は、二人を置き去りにしてから楽しいときは少しもなく、母親はすでに死んでしまっていました。

 父親は、よく帰ってきてくれたと泣いて喜び、三人は仲良く暮らしました。

 

【ひとりごと】

 これは皆さんがよく知っている有名な童話ですね。

 冷静で賢い兄ヘンゼルと泣き虫の妹グレーテル。

 

 ヘンゼルの賢さで最初に捨てられたときは家に帰ってくることができました。

 二度目に活躍したのは泣き虫グレーテル。魔女を出し抜いて兄を救い出しました。

 力を合わせて、危機を乗り越える。

 甘い誘惑に負けず、最後まで諦めない、協力して問題を解決することを伝えてくれましたね。

岩波文庫(1979)