『クマのプーさん』の翻訳などでも知られる児童文学作家・翻訳家として活躍された石井桃子さんが、小学生や中学生を対象にまとめたギリシャ文学本です。
子どもの頃、アキレウスやヘラクレス、パンドラなどの物語を読んだ記憶があり、もう一度「ギリシャ神話」を読んでみたいと思っていました。
神話って、小説とはまた違って、泥臭いというか、とても興味を惹かれます。
日本の神話でも竹田恒泰さんの『現代語古事記』を読みましたが、相通じるものがありますよね。
神話とはいえ、神様も嫉妬したり恨んだりと、人間臭さがあって、その神が人類を創造したのであれば、今も昔も生きている人間が災いを起こすのは、何ら不思議なことはなく、自然の摂理なのかなあと、ニンマリしながら読んでいました。
この『ギリシャ神話』は、子ども向けとは言っても、大人でも十分楽しめます。
子どもにとって、刺激的な内容は柔らかく表現されていて、「ペルセウスとメドゥサ」や「ヘラクレスの冒険」、「トロイア戦争」、「パンドラの箱」、「オデュセウス」など、親しみやすい物語が集められています。
石井さんの品のいいとてもわかりやすい翻訳でスラスラ読みやすくて、人間臭い神様たちの姿に疑問を感じながらも、親しみを覚えます。
そして、日頃使われている名称なども、これはギリシャ神話に出てくるものだったのかと今更気づいたりもします。
ギリシャ神話は、何千年も昔のことであるけれど、どのくらい昔かというと、いまだに議論が続いているそうです。
古代ギリシャも日本の古事記も我々に残された素晴らしいものだと感じます。