ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】呉 勝浩『法廷占拠 爆弾2』―『爆弾』は終わらない

【あらすじ&ひとりごと】

 今回読んだのは、呉勝浩さんの『法廷占拠 爆弾2』

 前作『爆弾』で強烈な印象を残したスズキタゴサク。その続編です。

 

fudemogura.com

 今回の舞台は「法廷」です。しかも五回目の公判の最中に起きる占拠事件という、閉ざされた空間で物語は進んでいきます。

 

 

 物語の舞台は、霞が関東京地裁104号法廷。
 史上最悪の爆弾魔・スズキタゴサクの公判が進むなか、傍聴席にいた若い男・柴咲奏多が突然拳銃を取り出し、法廷を占拠する。

 柴咲がまずはじめに突きつけた要求は、法廷内の様子を配信するサイト視聴者数を一万人に拡散すること。

 そして、さらに要求は「死刑囚を一人処刑するごとに、人質を一人解放する」というものにエスカレートしていく。


 警察は人質救出を最優先にしながらも、受け入れられない要求に振り回され、さらに事態を複雑にする中、人質の中にはスズキタゴサク本人もおり、前作にも登場した刑事・類家らは、法廷という特殊な空間で、犯人に対し「法」と向き合うことになる。

 

 本作最大の魅力は、やはり法廷という舞台設定ですね。
 逃げ場のない空間で銃を持つ犯人と人質、そしてスズキタゴサクの存在感。

 爆発やアクションではない緊張感で、「次に誰が何を言うのか」という会話そのものが恐怖になります。

 

 スズキは相変わらず不気味で、何を考えているかわかりませんね。憎めないという存在なのかな。
 直接的に暴力を振るわなくても、言葉だけで人の思考を狂わせていく存在ですよね。彼が「悪」であることは明らかなのに、なぜか完全には切り捨てられないというか、複雑な感覚。その感覚こそが、呉勝浩作品の怖さだと感じました。

 

 『法廷占拠 爆弾2』は、「死刑は正義なのか」「命を秤にかける判断は誰がするのか」という問いを感じます。単なるサスペンスではありませんね。

 もし自分がその法廷内にいたら、もし一人助けるために一人を殺せと言われたら、、、読みながらどうするだろうと。

 

 『法廷占拠 爆弾2』は、緊迫したサスペンスでありながら、重いテーマを内包した一冊です。

 前作『爆弾』を読んでいればより楽しめますが、本作だけでも強烈な読後感を残しますよ。

 「正義とは何か」
 そんな問いに向き合いたい人にはいいかもしれませんね。

 

 蛇足ですが、本作を読んでいるともう、スズキタゴサクが登場するたび映画で演じる佐藤二朗さんの顔で浮かんできてずっと消えませんでしたね。映画も観てみたいです。