【あらすじ&ひとりごと】
知念実希人さんの作品を読むのは、本作が3冊目です。
六編が収録された心温まる医療ミステリーです。
コロナ渦が続く中、肉体的・精神的にも疲弊する厳しい状況に置かれながらも、日夜自身の使命を全うする医療関係者を思いながら読みました。
そんな医療現場で働く研修医の物語です。
研修医・諏訪野は、初期臨床研修のため内科、小児科など様々な科を回っている。
そんなあるとき、睡眠薬を大量摂取した女性が緊急搬送される。
女性は、睡眠薬の過剰摂取を繰り返し搬送されるが、毎月5日に退院できるよう入院することに、諏訪野は違和感を覚える。
そのほか、胃がんの内視鏡手術を拒否し開腹手術を希望する老人、循環器内科に入院する女優など、個性ある患者たちを診ていくが、心の謎を解き明かし、医師と患者が通じ合っていく。
最近、医師の尊い命が奪われる事件が相次いでいます。患者にとても慕われていた医師なのに。
医療現場では、医療技術は当然大切ですが、医師と患者が心を通わせることも同様に大切なことであると改めて思います。
今作も温かいメッセージが伝わりました。
医師は患者を思い、患者は医師を信じることで病状や治療への真実が診えてくるのかなと思います。
角川文庫(2018)