【あらすじ&ひとりごと】
今作も相変わらず、尋常ではない分厚さ、文庫本1300頁超え。でも「京極堂」の難解な蘊蓄が他よりも少なかったような気がしますね。
探偵・榎木津礼二郎の縁談が何者かの手によって、次々と妨害され破談となる。
榎木津の親類である今出川から依頼を受けた探偵見習・元刑事の益田が、榎木津には内緒で調べ始める。
そのころ、江戸川と大磯で毒殺された死体が相次いで発見される。
小松川署の青木は、独自に事件の糸口を追い、「京極堂」からかつての陸軍研究所で開発された特殊な毒の存在を知らされる。
警察の捜査は難航し、迷走する中、公安まで動き始め、少しずつ無関係に見えた出来事が、ひとつの「毒」と連鎖的につながっていたことが明らかにされていく。
本作は、妖怪を見立てた奇譚ではなく、毒(青酸薬物)を媒介にして、人の心に潜む憎しみや思い込みを加速させ、人から人へと害意を伝播させる恐怖が描かれています。
榎木津に関わる事件でしたが、榎木津本人はあまり登場しません。でも超然とした神がかり的な探偵ですから、すべてはお見通し。
真相が明かされ、最後に事件の当事者へ榎木津が発する言葉が何とも悲しいですね。法で裁けない人間に榎木津の言葉で罰を与える。榎木津の苦渋が感じられました。
再読のつもりで読み始めたけど、真ん中の巻くらいからはストーリーの記憶がなく、初読のようだった百鬼夜行シリーズ。
9冊を読むのに約1年近くかかりましたが、おもしろかったです。
次はシリーズ第10弾『鵺の碑』(2023)ですね。シリーズ新作17年ぶりだそうで。少し頭を休めてからチャレンジですね。

