ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】『仮面』伊岡 瞬 著

【あらすじ&ひとりごと】

 今回は伊岡瞬さんの『仮面』。

 何の後ろ盾もない無名の人間が、過去や自身を消す仮面をかぶり手を染めながら、頂点へと近づいたとき、些細なことからその仮面にヒビが入って、一気に崩壊していくミステリ。

 

 作家・評論家としてテレビで活躍するほどになった三条公彦。そして、その助手である久保川克典。二人は米留学後、事務所を構え、明日の生活もままならない中で、成功のためには手段は選ばず、ここまでのぼり詰めてきた。

 そんなとき、パン店経営・宮崎璃名子の白骨遺体が発見され、さらに主婦・新田文菜が行方不明という事件が発生する。

 捜査にあたる刑事・小野田と宮下は、この二人が繋がっていたことに気付く。

 そして、二人の過去に三条もまた関わっていたことが明らかになっていく。

 

 章立てが、登場人物名になっていて、その者の視点で語られ、過去や現在、事件の事実関係が徐々に暴かれていき、最後に繋がっていくのでテンポよくストーリーが進みます。

 

 きれいごとだけでは生き残れない業界、そこにのし上がっていこうと群がる野心家たち。

 仮面をかぶり、それが普通に自身の顔のように生きていても、作り物はいつか簡単に崩壊し真実の姿が晒されます。

 400頁を超える長編ですが、先を急かされるクライムサスペンスでした。