ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】『希望の糸』東野圭吾 著

講談社(2019)

【あらすじ&ひとりごと】

 読み始めて、刑事・加賀恭一郎シリーズだと気付きました。東野さんのこのシリーズは、『眠りの森』を読んだのみ。

 映画では、『麒麟の翼』、『祈りの幕が下りる時』を観ましたが、原作は読んでいません。

 『祈りの幕〜』では、加賀の生い立ちが明らかにされ、シリーズの完結とのことでしたが、本作は加賀の従弟・松宮刑事が主人公で描かれ、続編ということになるのでしょうか。

 加賀恭一郎といえば、もう阿部寛さんのハマり役で、原作を読んでいてもあの顔と滑舌が浮かんでくるぐらい。

 

 震災によって幼い二人の我が子を失った家族と、老舗旅館を営む女将の家族、そして喫茶店を営む女性の話。そこに殺人事件が起き、三つの家族が絡みあいながら真実が明らかにされていく。

 それぞれの家族のあり方を考えさせられる物語になっています。そして松宮刑事の過去も明らかになります。

 

 推理小説というより、人間性を捉えていて、東野さんの描く犯人像はとても切ない。

ミステリーとはいってもそれだけではなく、丁寧に描かれたその背景が現れ一つになっていくところに心を持っていかれます。

 

 ガリレオシリーズの科学的なトリックを暴く醍醐味を味わうのも楽しいですが、加賀シリーズの人情味溢れるストーリーもいいですね。

 

 「希望の糸」… 

たとえ会えなくても、自分にとって大切な人間と見えない糸で繋がっていると思えたら、それだけで幸せだって。その糸がどんなに長くても希望を持てるって。だから死ぬまで、その糸は離さない

 「赤い糸」って言葉はよく使われるけど、「希望の糸」というのもいいですね。でも少し寂しいかな~。 

 

 ついつい東野さんの作品に手を伸ばしてしまいます。