ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】『くじら島のナミ』 浜口倫太郎 著

【あらすじ&ひとりごと】

 

 子どもの頃にあまり読書をしなかったせいか、私は児童書を読むことが好きです。書店では必ず児童書コーナーに行きます。

 優しい世界観が心の清涼剤になるのかもしれません。

 

 浜口倫太郎さんの『くじら島のナミ』は、文字や頁の体裁がまるで教科書を手にとっているようでした。

 その中には夢があり希望があり、生きる力があふれていて、現実的にはあり得ないけど、今の子どもたちに必要なことがたくさん詰まっていました。

 

 物語は、嵐によって客船が沈没するシーンから始まる。

 救命ボートに主人公ナミ(赤ちゃん)と両親が乗り込むが、荒波と冷たい海水で両親は助からないことを悟り、自身の命を諦め、ナミだけは助かってほしいと願う。

 そこに島ほどある大クジラ「くじら島のジマ」が現れ、母親はナミを託す。

 悪戦苦闘しながらもクジラが人間の子どもを育て、すくすくと成長していく物語です。

 

 ジマを取り巻く生き物たちが、人間の言葉を話せたり、文字も読むことができることにホッコリと温かい気持ちになります。ジマは交わす言葉は少ないが、母親としての大きな愛情が伝わってきます。

 そして、どこまでも続く青い海、果てしない冒険、海に棲む生き物たちの戦いを通し描かれる命の尊さ。

 子どもの頃のロマンを刺激する懐かしさにあふれ、とても新鮮な気持ちになりました。

 現代社会において、ときどき子ども心を持つことも大切なことかなと思わせてくれる作品でした。

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