【あらすじ&ひとりごと】
京極夏彦さんの百鬼夜行シリーズ『塗仏の宴 宴の支度』に続く後編『塗仏の宴 宴の始末』を前編の勢いのまま引き続き読みました。
前・後編で約2000頁。しかも複数のストーリーが複雑に絡み合う展開。そのストーリーを簡単に記すのも難しい物語でした。
前編『塗仏の宴 宴の支度』では、文士・関口が戦前に存在していた静岡県韮山の村・戸人村(へびとむら)を探してほしいと依頼される。地図や記録、近隣住民の記憶もすべて抹消された村。
関口は現地に赴き、かつて戸人村のあった場所で、ある屋敷を発見するが、その後殺人事件の容疑で逮捕拘束されてしまう。
一方で、古本屋「京極堂」の店主・中禅寺の妹・敦子、刑事・木場、探偵・榎木津たちもそれぞれ異なった謎に直面し、物語は大きな陰謀の存在が見えはじめ、不穏な読後感を残し、「宴の支度」は完了し後編「宴の始末」へと繋がっていきます。
本作では、日本各地で起こった怪事件や奇怪な現象が最終的にひとつの大きな陰謀へと収束していきます。
物語中心となるのは、様々な「宴(怪事件)」が繰り広げられる中で暗躍する人物たち。その陰謀の首謀者たちは、それぞれの思惑を抱えながら計画を進め、京極堂が動くことのできない状況を作り上げていく。
一方で、京極堂は、自分に張り巡らされた罠に気付き、仲間たちの安否を案じながらも事件の背後に潜む真相を解き明かそうとします。
榎木津、木場ら、他のメンバーも各地の事件に潜入しそれぞれの立場で真相を解明していきます。
ストーリーが進むにつれ、超常的な現象と人間の思惑が絡み合い、混乱しながらも京極堂の「憑き物落とし」によって、首謀者たちの愚かな真実が現れる。
『塗仏の宴 宴の始末』は、シリーズの中でも特にスケールが大きいですね。複数の出来事が複雑に絡み合い、前編で張り巡らされた伏線が一気に収束していく過程が圧巻。
そして、本作では信仰や洗脳といったテーマを妖怪に重ねつつ、人間の中の「思い込み」や「現実と虚構との境界」が濃く描かれていますね。
それぞれが信じるものに従って行動するも、それが錯覚や作り事であることが解き明かされる展開は、まさしく京極堂の「憑き物落とし」の醍醐味。
ただ、物語の構造が非常に入り組んでいて、長編で情報量が膨大。物語の全容を把握するのはとても難しい作品でハードルの高さを感じましたね。
でも、その難解さを乗り越えた先にある読後感は強烈で、京極堂の「憑き物落とし」によってカタルシスへといざなってくれるようです。
とは言え、頭の中が少し疲れたので、シリーズ第8作目も気になるところですが、次に読むのはさらりと読める作品にしようかな。
