【あらすじ&ひとりごと】
ずいぶんと長い間、私の部屋の本棚に置かれていた『六月の雪』。
購入はしたものの、500頁を超える長編に手が伸びず後回しになっていましたが、ようやく読み終わりました。
読み始めると、とてもシンプルなストーリーで舞台となっている台湾、そしてそこに生きる台湾人の温かさに触れ、訪れたくなりました。
一方で日本と台湾との関係や、その歴史を理解することができて、戦後の台湾の悲劇には胸が詰まる思いでした。
声優への夢が破れ、祖母とふたりで暮らす主人公・杉山未来は、入院した祖母を元気づけるために、祖母が生まれたという台湾・台南を訪れる。
戦時中の祖母の人生をたどり、台湾の人々の悲劇と台湾を離れなければならなかった日本人の哀しみを知ることで、未来が、自分の人生を見つめ直し、考えていくきっかけとなる7日間のひとり旅の物語です。
未来の旅を案内するひとりの台湾人から、二人三人と増えていき、未来は心を通わせる。その人柄が皆親切で性格は違えど何とも愛らしい。
言葉も独特の片言の日本語を文章にしているため、わかりづらいけど微笑ましくなります。
読みながら台湾にどんどん惹かれていきます。
台湾はとてもいいところですね。私には少し食事が気がかりですが、フルーツはぜひとも楽しみたいですね。
そしてタイトルにある「六月の雪」。南国に降る雪のような花を見てみたいです。
それと物語の結末。人の縁の大切さを知り、そこから自分の新たな人生に向けて決意する心温まる物語に、最後の展開がとても淋しく感じられたのは私だけではないと思いますが、どうなのだろう。
世界ではいろいろな動きがあるようですが、このような素敵な国や、やさしい人々を守っていきたいですね。