【あらすじ&ひとりごと】
今回読んだのは、上條一輝さんのホラー小説『深淵のテレパス』(2024)
ある”怪談”を聴いたことがきっかけで、現実が寝食されていく物語です。
そんな恐怖と、背後に潜む得体の知れない”何か”へと踏み込んで、読書を不穏な結末へと導いていきますよ。
高山カレンは、会社の部下・ゆかりに誘われ、ゆかりの弟が通う大学のサークル・オカルト研究会のイベントに参加し、奇妙な怪談を聴く。
その日を境に、カレンの周囲に異変が起こり始める。暗闇から聞こえる”ばしゃり”という湿った音、ドブ川のような異臭、そして緑色に濁った水が部屋の廊下に……。
精神的に追い詰められていくカレンは、超常現象を扱う「あしや超常現象調査」の二人組・芦屋晴子と越野草太に助けを求めるが、怪奇現象は収まらず、調べていくうちより不気味で深い存在へとつながっていく。
「怪談を聴く」という、ごくありふれた行為が、取り返しのつかない方向への入口となってしまう。面白い始まりですね。
私は、テレビ番組で放映されれば必ず観るほど怪奇現象が好物です。稲川淳二さんの怪談を聴いて、もしお土産をいただいたら……、怖いですよね。
なので、本作の怖さは、きっかけの軽さから異変が始まっていくところです。
そして、怪奇現象の描写。音や臭い、汚水といった生理的に嫌悪感を抱かせるのがリアルで、視覚だけではない恐怖が積み重なっていきます。まとわりつく不快さが離れずにつきまとってくる感覚。
さらに、語られた怪談が現実を浸食していく、という構造が次から次へと迫ってきて、少しずつ逃げ場を奪っていくホラー作品です。
結末の攻防は、読んでいるだけでも息苦しさを感じて夢に出てきそうです。
シリーズ第二弾『ポルターガイストの囚人』が上梓されているので、また「あしや超常現象調査」の二人組の活躍が楽しみです。
