【あらすじ&ひとりごと】
東野圭吾さんの九編からなる短編集です。一編がどれも30頁程度で、隙間の時間を利用して気軽に読むことができました。
東野さんのミステリーは、読み落としがないよう心して読まねばという意識を強く持ちます。
でも、一編目「正月の決意」からゆっくりと読み進めると、ミステリー仕立てでミステリーではない、思わずニヤリとしてしまうほのぼのとした作品から始まっていて、少しいつもの東野さんではないような不思議な感覚がありました。
一編一編の順番もリラックスして読めるようになっていて、キリリとしたミステリー、またほのぼのとしたストーリーと、肩の力を抜いてくれる順序もうれしい。
そして、ミステリーであるけど、事件を推理し暴いていく中心人物が登場せず、犯人が主人公でちょっとしたミスで足がつくという作品もあり、意外性に富んで楽しかったです。
特に印象的だった最後の「水晶の数珠」は、代々跡継ぎに伝えられる水晶の数珠に呪文を唱えると、一日だけ過去に戻ることができる。
この力を自分のために使うか、人のために使うか。自分のために使うことだけが数珠の道ではない、と作者は綴っています。
やはりそれが日本人なのかなあと、、、。
タイトルの『素敵な日本人』とは何だろうと思いながら読み進めていましたが、最後にここに繋がってくるのかなと感じました。
今回も東野さんのエンターテイメント性に富んだ作品に楽しませていただきました。
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