ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】『素敵な日本人』 東野圭吾 著

光文社(2017)

【あらすじ&ひとりごと】

 東野圭吾さんの九編からなる短編集です。一編がどれも30頁程度で、隙間の時間を利用して気軽に読むことができました。

 

 東野さんのミステリーは、読み落としがないよう心して読まねばという意識を強く持ちます。

 でも、一編目「正月の決意」からゆっくりと読み進めると、ミステリー仕立てでミステリーではない、思わずニヤリとしてしまうほのぼのとした作品から始まっていて、少しいつもの東野さんではないような不思議な感覚がありました。

 

 一編一編の順番もリラックスして読めるようになっていて、キリリとしたミステリー、またほのぼのとしたストーリーと、肩の力を抜いてくれる順序もうれしい。

 

 そして、ミステリーであるけど、事件を推理し暴いていく中心人物が登場せず、犯人が主人公でちょっとしたミスで足がつくという作品もあり、意外性に富んで楽しかったです。

 

 特に印象的だった最後の「水晶の数珠」は、代々跡継ぎに伝えられる水晶の数珠に呪文を唱えると、一日だけ過去に戻ることができる。

 この力を自分のために使うか、人のために使うか。自分のために使うことだけが数珠の道ではない、と作者は綴っています。

 やはりそれが日本人なのかなあと、、、。

 タイトルの『素敵な日本人』とは何だろうと思いながら読み進めていましたが、最後にここに繋がってくるのかなと感じました。

 

 今回も東野さんのエンターテイメント性に富んだ作品に楽しませていただきました。