【あらすじ&ひとりごと】
『リング』『らせん』『ループ』『バースデイ』など、このときはほとんどの作品を読んでいたように思います。
本作、16年ぶりの新作のようですね。鈴木さんらしい「不安がじわじわ積み重なっていく」感は健在でした。
元雑誌記者の探偵・前沢恵子は、元不倫相手の稲垣謙介から調査の依頼を受ける。
それは、謙介の亡くなった友人(麻生敏弘)の両親から、息子が当時交際していた女性との間に孫がいるかもしれないというもの。
かつて、ダブル不倫で恵子は社会的制裁を受け職と家庭を失い、その罪滅ぼしとして謙介は、莫大な報酬を提示されたこの調査案件を事務所経営に窮する恵子に持ち込んだのだった。
調査を始めた恵子は、その女性がかつて新興宗教団体に所属し、集団死事件の生き残りであることを知る。
一方、東京都内・近郊では、原因不明の突然死が相次ぎ、そこには共通点として南極の深層氷が関わっていることが浮かび上がり、新興宗教団体集団死事件との関連に気付く。
序盤は、探偵ミステリー感覚の不穏さを匂わせ、中盤以降は人間のこれまでの常識を崩壊させるような恐怖へと転換していきます。
そして、ラストは未知の微生物が植物と同様の生命を形成し目覚めていくという、ホラーからSFへの領域に進んでいくようなストーリーでしたね。
人類は植物に利用され、地球の主役は植物であり、人間を含む動物たちは植物が生存するために生み出した存在にすぎない、という逆転の発想のようなストーリーに進んでいくのが、専門的な難しさはあったけどおもしろいところでした。
人類はどうすべきか。抗うか共存か。破滅とみるか、進化とみるか、人間しだいですが現実なら怖いですね。
世界は人間のためにあって中心なんだという前提が、根底から崩れ疑問を突き付けられたよう。これまでの世界の構造が崩れる恐怖、鈴木光司さんらしいホラーだと思いました。
タイトルのとおり「どこにでも存在する」、見えない生命ネットワークが世界を支配する可能性ということでしょうか。人間が当たり前と思っている世界観を揺さぶる作品でした。
