【あらすじ&ひとりごと】
小野寺史宜さんらしい作品でした。
やはりテーマは「人と人との繋がり」。
私が言うのも変ですが、心に深く刻まれる文章というわけではない(と感じている)のに、人と人が触れ合っていくことによって起きる、さまざまな些細な問題に傷つきながらも、またちょっとしたことで気持ちを回復していく、そんな日常的な描写をさらりと綴っていく内容に惹かれます。
この作品は、四編から連なる短編で、「霧 KIRI」「塵 CHIRI」「針 HARI」「縁 HERI」とそれぞれ主人公(視点)が変わり、つながっていきます。そして最後に「終 OWARI」で回収されます。
読みながら、普段の生活に「あるある」と自分に置き換えながらムカムカして、ラストにたったこの一言が人の心を軽くし、また先を見ようと思わせてくれる、そんな言葉がモヤモヤとした今までの感情を少しずつ溶かしていく。
地味だけど、身近で普通に起こりうることだから、とても心に沁みて、すーっとしていきます。
何も考えたくないときや、少し疲れていると感じたときに読んでみたらいかがでしょうか。