【あらすじ&ひとりごと】
貴志祐介さんの『罪人の選択』を読みました。
本作品は短編集です。
「夜の記憶」「呪文」「罪人の選択」「赤い雨」の4編が収録され、連作ではありません。
表題作である「罪人の選択」以外の3編は、遠い未来で異星人に侵略された地球人が、肉体は滅びながらも過去の記憶をチップに埋め込まれ、地球での過去を思い出すストリー(夜の記憶)や、神を呪うことで災厄を回避しようとする不思議な惑星の調査をするが、神による落雷でその惑星の民が亡くなるストーリー(呪文)など、近未来を描いているというより、SFの作品でとても難解でした。
表題作の「罪人の選択」は、自分の選択によって「生」か「死」に直面する人間の心理をスリリングに描いたミステリーでした。
罪人の前に出された一升瓶の酒と缶詰。どちらかに猛毒が入っている。
さてどちらを選択するのか。
与えられたヒントから考えを巡らすかけひきがドキドキします。
「赤い雨」は、『黒い雨』を想像しました。
この作品は、「チミドロ」という生物の胞子により真っ赤に染まった雨が降り注ぎ、生物絶滅の危機にある世界を救うため、若き女医が未知の病気「RAIN」の治療法を探るSFストーリーです。
3編までを悶々とした気持ちで読んでいましたが、4編目で絶望の中に希望を捨てずに一筋の光があればそれを未来へと照らし出そうとする内容に気持ちがすっきりしました。
そして、環境破壊・汚染への警鐘でもあるのかもしれませんね。