『完訳 グリム童話集1 金田鬼一 訳』その1
以前から『グリム童話』をもう一度読み直してみたいと思っていました。
子どもの頃、代表的な物語は読んだことがありますが、いったいどのくらいの物語があるのか。
実際、岩波書店さんの『完訳グリム童話集』を購入してみると全5冊、初版本から省かれた物語や遺稿、断編を合わせると計248編もの作品があり、その中で私が知っていたのはごく一部でした。
『グリム童話』は、皆さんご存知のとおり、グリム兄弟がつむぐドイツの古いお伽噺(メルヒェン)。
正式名称は、『子供と家庭の童話集』(ドイツ語でKinder-und Husmarchen)というそうで、一話一話のタイトルに「KHM」と付番されているのは何だろうと思っていたら、原書名の頭文字をとり、今日ではKHM番号によって示すことが慣例であると、1857年刊の決定版に付された物語番号と巻末に記載されていました。
グリム童話の歴史と偉大さを感じました。
いまだに子どもたちの間で読み継がれているのかはわかりませんが、現代でも大人が読んでも楽しむことができ、いまだに色褪せていないと改めて実感します。
もう一度グリム童話のすばらしさを味わってみたいと思います。
『蛙の王様 鉄のハインリヒ』<KHM1>
【あらすじ&ひとりごと】
大昔、王様にはとても美しい娘たちがいました。
お城のそばには森があり、その森の中には泉がありました。
特に美しい末の娘のお姫様が、その泉の淵で金色の毬で遊んでいたところ、投げた金色の毬が泉の中に落ちてしまいました。
お姫様が悲しくなり泣いていると、一匹の蛙が泉から顔を出します。蛙は「もしもお姫さまの毬を拾い上げたら、何を私にくれますか」と聞きます。
するとお姫様は「欲しいものを何でもあげます」と答えます。蛙は「お姫様の遊び友達になって一緒に食事をして一緒にベッドに寝てくれるなら毬をとってきましょう」と言うと、お姫様は「金の毬をとってきてくれるならあなたの望みをすべて叶えます」と約束しました。
しかし、お姫様は心の中で蛙が人間の相手になれるわけがないと思い、蛙が金の毬をとってきてくれますが、お姫様はそれを受け取ると走り去ってしまいます。
次の日、蛙がお城を訪ね、扉をたたきます。
お姫様は怖くなって扉を閉めますが、王様から「約束したことは守りなさい」と言われお城の中に入れます。
お姫様は蛙と約束したとおり一緒に食事をします。そして蛙は一緒のベッドに入りたいと言うので、我慢できなくなったお姫様は蛙を壁にたたきつけました。
するとそこには蛙ではなく、魔女の魔法が解かれた美しい目をした王子様が立っていました。(要約)
この作品は読んだ記憶がありますね。
最後は、お姫様はこの王子様と結婚するのですが、このお話で大切なところは、当然ですが「約束」を守ることでしょうか。
そして、相手を「外見で判断しない」こと。
一方で、難しいところですが、「本音の気持ち」も大切なのでしょうか。
上辺だけ取り繕った言葉では疑う心がどこかにあり、理解し合えない。本音で語り合って、相手の素の部分を見たところに好感を持つことができたりと。
魔法が解け、蛙が王子様の姿に戻ったのは、そういうことなのでしょうか。自分なりに思ったりしています。正解のないことに子どもたちがどう考えるのかが楽しいところですね。
とても深いです。