ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書(再読)】(途中経過)京極夏彦・百鬼夜行シリーズ

 9月に本棚を整理していたら出てきたのが、京極夏彦さんの百鬼夜行シリーズ9巻。

左からシリーズ①~⑨

fudemogura.com

 再読したくなって、シリーズ①から読み始めて4ヶ月になろうとしていますが、まだシリーズ⑤が読み終わって⑥に入ったところ。とても分厚くて進みません。

 しかもシリーズ④までは断片的に記憶があって、そうだったなぁーと思いながら読んでいたのですが、⑤はまったく覚えていませんでした。もしかしたら購入だけして、それ以降はあまりの分厚さに挫折して読まなかったのかもしれませんね。

 なので、まだまだ時間がかかりそう。未読のものもありそうなので、簡単に読書記録を残しておこうと思います。

 

【あらすじ&ひとりごと】

 戦後の日本を舞台としたミステリ。妖怪は出てこないけど、古本屋にして陰陽師中禅寺秋彦が「この世には不思議なことなど何もないのだよ」を口癖に奇怪な事件を解決していくシリーズ。

(主な登場人物)

中禅寺秋彦宮司にして陰陽師、祓い屋、古本屋「京極堂」経営

関口 巽・小説家。中禅寺とは学生時代からの友人。学生時代からうつ病に悩み、完治していない。関口を軸に物語が展開していくことが多い。

榎木津礼二郎・私立探偵。中禅寺と関口の旧制高の一期先輩で腐れ縁。他人の記憶が見える特殊体質。

木場修太郎・刑事。榎木津の幼馴染で関口とは戦時中同部隊。

中禅寺敦子中禅寺秋彦の妹。稀譚月報の編集者。

井佐間一成・釣り堀いさま屋主人。戦時中は海軍で榎木津の部下。

今川雅澄・骨董屋。戦時中は榎木津の部下。中禅寺と知り合い。

青木文蔵・刑事。木場の後輩。

鳥口守彦カストリ雑誌「實録犯罪」の編集者兼カメラマン

益田龍一・刑事。明慧寺での事件後退職し、榎木津に弟子入り。

久遠寺嘉親久遠寺医院長、外科医。

降旗 弘・元精神科医。教会で居候。木場、榎木津と幼馴染。

  

姑獲鳥の夏

 舞台は昭和27年夏。関口は「20箇月も身籠り続ける女性」の噂を聞き、京極堂を訪ねる。その妊婦の婿はかつての友人・藤野であることに二人は気付く。

 藤野が失踪していることを知った京極堂は、関口に榎木津のもとへ行くよう命じる。榎木津を訪れた関口は、そこで妊婦の姉・久遠寺涼子と出会う。

 調査依頼を受けた榎木津と関口は、妊婦の家である久遠寺医院へ調査に向かうが、他にも密室から消えた藤野、度重なる赤子の連続死、数々の謎が彼らの前にあらわれる。

魍魎の匣

 前作と同年、昭和27年8月。中央線武蔵小金井駅ホームから少女が転落する人身事故が起きる。それは、中学生・楠本頼子とその友人・柚木加菜子が深夜に家出し、相模湖まで行こうと計画するものだったが、加菜子が線路に転落し轢かれてしまう。

 そこに勤務明けの木場が列車に乗り合わせており、頼子とともに病院へ向かい、加菜子の姉・陽子と出会う。それは木場が憧れるかつての女優・美波絹子だった。術後、加菜子は危険な状態が続くが、陽子の意志で美馬坂近代医学研究所へと移される。

 事故後も木場は研究所へ通いつめ、頼子から加菜子はある男に突き落とされたと聞かされ事件性を疑い始めるが、その後加菜子は所内から謎の失踪を遂げる。

 そして一方では、武蔵野バラバラ事件が連日起こり、それらの事件が結びついていく。 

狂骨の夢

 同年11月、伊佐間は逗子の海岸まで釣りに出掛け、そこで朱美という女と出会う。風邪をひき、朱美の家に泊めてもらい介抱されるが、朱美は伊佐間に「あたしは人を殺したことがある」と語り出す。

 一方、降旗は精神科医を辞め、逗子の基督教会に居候し、牧師・白丘とともに朱美という女から「死んでいる前夫が何度も訪れ、そのたびに絞め殺し首を切っている」という告白を受ける。

 そしてその女は、関口が記憶喪失の妻の妄想について相談を受けていた作家・宇田川の妻であった。宇田川は榎木津への調査を関口に依頼し、その後行方がわからなくなり、さらなる怪事件が続発していく。

鉄鼠の檻

 昭和28年2月。骨董屋・今川は、明慧寺の僧侶との商談で箱根の旅館「仙石楼」を訪れる。そこには久遠寺嘉親があの事件後東京を離れ、居候していた。また、敦子とその同僚、そして鳥口の3人もまた明慧寺の取材のため仙石楼を訪れ5人が居合わせるが、突然彼らの眼前に僧侶の死体が現れる。

 一方、京極堂もまた古書鑑定のため、関口夫妻を誘い箱根を訪れていた。

 死体は明慧寺の僧侶とわかり、さらに寺で次々と僧が殺されていく。

⑤絡新婦の理

 昭和27年初夏から年末にかけて、東京、千葉で女性ばかりが狙われた目潰し連続殺人事件が4件発生する。被害者はノミで両目を抉られ、彫金細工職人・平野が指名手配され、犯人と断定された。翌年、木場は4件目の事件捜査にあたるが、捜査線上に友人・川島の名が浮上する。

 殺された一人は、聖ベルナール女学院の女教師で学院内では呪いで殺されたと噂される。蜘蛛の悪魔を崇拝し、冒涜のために売春を行う「蜘蛛の僕」が存在し悪魔の呪いをかけると相手は死ぬという。そして呪ったとおりに次々と殺人事件が学院内で起きる。

 学院を創設した房総の富豪・織作家の過去と目潰し魔。連続殺人はこれらの張り巡らされた蜘蛛の巣に眩惑されながらその過去が暴かれ、二つの事件は繋がっていく。

 

 

 シリーズを追うごとにおもしろくなってきますね。事件の真相も複雑になってきて。

 事件が発生して、腰の重い京極堂をどうやって引っ張り込むか、そして知識のウンチク。まずはここが面白さの始まりですね。

 そして、登場人物が個性豊かなこと。身近にいると困りものだけど、お気に入りは刑事・木場と探偵・榎木津。

 木場は口が悪く天邪鬼だけど奥底はやさしい。『魍魎の匣』では木場の情が出ていました。『鉄鼠の檻』では登場せず残念でしたが、目潰し魔事件の捜査にあたっていたからなのでしょう。そういった繋がりが、「これはあのときの」というのがシリーズを越えてあるのでおもしろいです。

 次に榎木津。破天荒で支離滅裂、人の名前が覚えられないのですが、憎めません。他人の記憶が見える特殊体質でクライマックスではまともな発言をします。

 

 それぞれの個性が物語を盛り上げ、読み始めると癖になりますね。シリーズ⑥『塗仏の宴  宴の支度』を読み始めましたが、やはり読んでいなそう。まだまだ時間がかかりそうです。