ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】『連続殺人鬼カエル男』『連続殺人鬼カエル男ふたたび』中山七里 著

宝島社(2011 2019)

【あらすじ&ひとりごと】

 タイトルの「カエル男」と、その表紙の可愛らしさが目に付き、手にした中山七里さんの『連続殺人鬼カエル男』、『連続殺人鬼カエル男ふたたび』。

 ところが、頁を開いて各章のタイトルを見るともう戦慄は始まっていました。

 

 マンションの13階からぶら下げられた女性の全裸死体が発見される。

 そこには、「きょう、かえるをつかまえたよ」という幼児が書いたような文字の稚拙な犯行声明文が残され、街を恐怖と混乱へと陥れる殺人鬼「カエル男」による犯行が始まる。

 この作品は、残忍極まりない連続殺人事件のなかに、刑法39条の是非を問う社会派小説として整えつつ、二転三転するミステリー作品です。

 

 目を背けたくなるような方法での殺人、残酷さが際立っていて、最後まで心臓がバクバクでした。

 犯人と警察との格闘する描写が長くて、自分自身も痛みを感じながら、眉を寄せ、顔を歪ませて読んでいました、きっと。

 ちょっぴり後味の悪さも感じるけど、これが社会への訴えなのかなぁとも思います。

 

 貴志祐介さんの『黒い家』や五十嵐貴久さんの『リカ』を読んだ以来の恐怖でした。とてもおもしろかったけど、何だか夢でうなされそうだなあ。

 

 

【読書】グリム童話『三まいの蛇の葉』

『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その12

『三まいの蛇の葉』〈KHM16〉

 

【あらすじ(要約)】

 あるところに、貧しい男がいましたが、貧乏がひどくなり、ひとり息子を養えなくなりました。息子は、これ以上父親の重荷になるのがつらくなり家を出ます。

 このとき、国は戦争中で、息子は戦争で手柄をあげ、王様は宝物を授けました。

 

 王様にはひとり娘がいて、とても美しい方でしたが、相当な変わり者でした。

 自分が死んだとき一緒に、生きながら埋葬されてもいいと約束できる人でなければ、結婚しないというのです。

 逆に相手が先に死んだら、自分も一緒に埋葬されると言います。

 

 男は、お姫様の美貌にまいっていたので、王様に結婚を願い出ます。

 王様は、娘が先に死ぬと、一緒に埋められてもいいのかと念押しますが、男は自分の愛情はとても深く、どんな危険も厭わないと言いました。

 

 結婚した2人は、しばらく幸せに暮らしますが、お姫様は病気にかかり死んでしまいました。

 若い王様は、自分がした約束を思い出し、墓に一緒に入るのが怖くなります。

 しかし、見張りがいて逃げることができません。

 

 いよいよ姫の亡骸が墓に納められる日が来ました。

 姫の棺桶を納めた墓(部屋)には、ろうそくが4本、パンが4つ、ワインが4本あります。

 この食料がなくなれば、若い王様は餓え死にします。悲しみに沈みながら、少しずつパンとワインを消費していきました。

 

 そこに、天井の隅から一匹の蛇が出てきて、亡骸に近づきました。若い王様は剣を抜き、蛇を3つにたたき切りました。

 しばらくしてべつの蛇がまた出てきましたが、先に切られて死んで転がっているのを見ると、そのまま後戻りし、今度は、3枚の葉をくわえて現れました。

 蛇は、切られた蛇の体に葉を置きました。すると切られた蛇の体がたちまち一つになり、2匹そろって逃げていきました。

 葉っぱは下に落ちたままです。

 この様子を見ていた若い王様は、葉を拾って、死んだお姫様の両目と口に置いてみました。

 すると、お姫様の青ざめた顔が赤みをおび、息をして目を開けました。驚くお姫様にこれまでのことを話し、残っていたワインを飲ませパンをあげると、お姫様は元気になり体を起こしました。

 ニ人は無事にお墓から出ることができました。

 

 若い王様は、蛇の3枚の葉を家来に渡し、大切にしまっておくよう言いました。

 

 お姫様は生き返ってから夫への愛情がなくなってしまったようでした。

 

 少したってから若い王様は、妻と一緒に年老いた父親に会いに行くため船に乗りました。

 お姫様は、夫が自分への約束を守り、生き返らせてくれたのを忘れ、船長を好きになります。

 そして、若い王様が眠っているとき、お姫様は船長を呼び、2人で若い王様を海に放り投げました。

 お姫様は船長に、若い王は途中で死んだことにして、自分と結婚して、王の後継者になれるようにすると言いました。

 

 しかし、若い王様の家来がすべてを見ていましたので、見つからないよう小舟をおろし、若い王様の遺体を探し出し、例の3枚の葉を、両目と口に乗せ、生き返らせました。

 

 若い王様と家臣は一生懸命小舟を漕いで、お姫様たちより先に国に戻り、王様に起きたことを伝えます。

 王様は、信じられないと言いますが、若い王様と家来を部屋に隠しました。

 

 それから間もなく、お姫様が戻ってきます。

 王様は姫になぜ一人で戻ってきたと問うと、夫が航海中病気で死に、船長が手を貸してくれなければ、悲しくてここには戻ってこれなかったと言いました。

 すると王様は、部屋を開け、若い王様と家来に出てくるよう命じました。

 夫を見たお姫様は雷に打たれたようになり、膝をついて詫びました。

 

 しかし、王様は許すことはできないと言います。夫は、おまえと一緒に死ぬ覚悟をして、生き返らせもした。それなのに、おまえは夫が寝ている間に殺したではないかと。

自分のしたことの報いを受けなければならないと話し、お姫様は、船長と一緒に穴だらけの舟で海に突き出され、二人は波間に沈んでいきました。

 

【ひとりごと】

 グリム童話では、人に助けられてお金や地位を手に入れる主人公が多いですが、この童話は自分の力で未来を切り拓きましたね。

 この童話からは、安易に約束をすることの恐ろしさと、約束を果たすことの大切さを訴えているのでしょうか。恩を仇で返してはいけないという教訓を学ばされます。

 でも、どんなに悪事をはたらいても、実の子を自ら極刑にできるのかな。これがこの童話集の残酷なところでしょうね。

岩波文庫(1979)

 

【読書】『山亭ミアキス』古内一絵 著

角川書店(2021)

【あらすじ&ひとりごと】

「日常から逃げ出したいあなたへ」

「美味しいごはんと、不思議な従業員がお待ちしております」

 そんな帯に目が留まり、手にした古内一絵さんの『山亭ミアキス』。

 「ミアキス」って聞いたことがある言葉だなぁとググってみると、イヌやネコ、アシカなどの祖先である太古の動物。なるほど表紙もしっかりクロネコでした。

古内さんの作品は初読みです。

 

 ファンタジーの中に、幼児虐待やパワハラ、セクハラなどの社会問題が盛り込まれ、ダークでちょっとしたホラーファンタジーの様相でした。

 

 心に迷いや悩みを抱える人たちが、迷い込んだ先にある「山亭」。

 そこには、美形のオーナーと不思議な従業員、そして絶品のアイルランド料理でもてなされる。

 でも、泊まると酷い目に遭わされる宿。

 

 山亭を訪れる迷える人たちは、かつてのアイドル少女や、父親になることを逃げる男、がんばってきたが今の現状を受け入れられない女、ブラック部活に疲弊する少年、マタハラに悩む女。

 そんな人たちが救いを求めてたどり着く、連作短編です。

 

 元々は、この五編のそれぞれが作品だったようですが、単行本化するにあたって「序」と「終」を追加したとのこと。

 五編はありがちなストーリーですが、この「序」と「終」が加わったことでグッとくるものがあります。

 

 ダークなファンタジーの様相の中にも、心の浄化や救いが感じられ、ビターな読後感ではあるけれど、優しさと苦さが調和された作品でした。

【読書】『魔力の胎動』東野圭吾 著

角川書店(2018)

【あらすじ&ひとりごと】

 定期的に東野圭吾さんのエンターテイメント性に富んだ作品を読んで楽しんでいます。

 今回は『魔力の胎動』。『ラプラスの魔女』の前日譚です。

 

 本作品は、五編からなる連作短編集で、四編までは鍼灸師・工藤ナユタの視点で描かれ、不思議な力を持つ少女・羽原円華によって、悩める人たちが救われていく物語です。

 そして、最後の五編目が『ラプラスの魔女』へと繋がっていきます。

 

 円華が自然現象を予測する能力によって人が救われて、さらにはナユタ自身も問題を抱えていることに気付きはじめ、彼をも救っていく。

 社会問題も散りばめられ、東野さんらしさを感じます。

 

 そして、この物語を引き立てているのは円華のキャラですね。

 17歳の少女がとても論理的で、高慢な印象を抱かせるが、悩める人たちを救おうとする中には、誰よりも人の気持ちを考える優しい心が垣間見える。そんなところにやがて心が動かされていきます。

 

 円華の不思議な「力」とは何なのか。

 それは前作『ラプラスの魔女』で明かされています。

 

 刊行順ではなく、時系列に『ラプラスの魔女』(2015)よりも『魔力の胎動』(2018)を先に読むのもありかもしれません。

 

 東野さんの文章はサクサク読めて、そのうえ仕掛けの多さと切り込みにはハズレがありませんね。

 次は、8シリーズ目まで読んで、しばらくストップしているガリレオシリーズを読もうかなあと思います。

 

【読書】グリム童話『ヘンゼルとグレーテル』

『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その11

ヘンゼルとグレーテル』〈KHM15〉

 

【あらすじ(要約)】

 どこかの大きな森の入り口に貧しい木こりの夫婦とヘンゼルとグレーテルという名の兄妹が住んでいました。

 

 生活は苦しく、パンすら手に入らなくなり、ある夜、ヘンゼルとグレーテルは、母親が父親に「もう食べるものがない。明日、森へ出かけて、子どもたちを置き去りにしよう」と話すのを聞きます。

 泣くグレーテルにヘンゼルは何とかするからと冷静に言い、庭の白い小石をたくさん集めます。

 

 翌日、子どもたちは森に置き去りにされますが、ヘンゼルが家から小石を落として目印をつけていたおかげで、家に戻ることができました。

 母親は怒りますが、父親は喜びました。

 その夜、また母親が子どもを森に置き去りにすると話していました。

 

 翌朝、ヘンゼルは集められなかった小石の代わりに、残しておいたパンをちぎり、道に落としていきます。

 

 夜になり月明かりでパンを辿って帰ろうとしますが、パンは鳥たちに全て食べられていました。

 そして、森の中を歩き続けると、おいしそうなお菓子の家が現れました。

 二人がそのお菓子の家を食べていると、いきなり入り口の戸が開いて、年をとった婆さんが虫が這うように出てきて、二人を家へ招き入れました。

 

 翌朝、婆さんはヘンゼルをつかみ、家畜小屋に閉じ込め、グレーテルにはヘンゼルに与えるための料理をするよう命じます。

 昨夜の婆さんは、子どもたちを騙し、太らせて食べてしまう魔女でした。

 

 一ヶ月間、魔女はヘンゼルの指を毎日触って確認しますが、痩せっぽちのままです。

 ヘンゼルは、目の悪い魔女を欺くために、食事の時に出てきた骨を魔女に触らせていたのでした。

 

 痺れを切らした魔女は、ヘンゼルをかまどで焼いて食べることにします。

 魔女はかまどを準備するようグレーテルに言いますが、やり方がわからないと話します。

 そして、魔女が熱いかまどの中に頭を入れた瞬間、グレーテルは魔女の背中を押し、かまどの中へ転がると、鉄の扉を閉めてかんぬきをしっかりとかけました。

 叫び声を上げた魔女は、かまどの中で焼け死にました。

 

 ヘンゼルとグレーテルは魔女の家にあった宝石をポケットに詰めこんで、森を抜け家に帰ります。

 父親は、二人を置き去りにしてから楽しいときは少しもなく、母親はすでに死んでしまっていました。

 父親は、よく帰ってきてくれたと泣いて喜び、三人は仲良く暮らしました。

 

【ひとりごと】

 これは皆さんがよく知っている有名な童話ですね。

 冷静で賢い兄ヘンゼルと泣き虫の妹グレーテル。

 

 ヘンゼルの賢さで最初に捨てられたときは家に帰ってくることができました。

 二度目に活躍したのは泣き虫グレーテル。魔女を出し抜いて兄を救い出しました。

 力を合わせて、危機を乗り越える。

 甘い誘惑に負けず、最後まで諦めない、協力して問題を解決することを伝えてくれましたね。

岩波文庫(1979)