ふでモグラの気ままな日常

内向的な公務員モグラが見たこと、感じたことを気ままに発信する雑記ブログ

【読書】『ノースライト』 横山秀夫 著

【あらすじ&ひとりごと】

 

 主人公・建築士の青瀬稔は、依頼人・吉野陶太から「あなた自身が住みたい家を建ててください」とY邸の依頼注文を託される。

 

 建築予定地は信濃追分 建築費用は3,000万円。

 青瀬は、バブル崩壊後、赤坂の建築事務所を辞め、妻ゆかりとも離婚するが、同級生の岡嶋設計事務所の所長・岡嶋に拾われる。

 

 Y邸建築の依頼は、青瀬にとってまたとない建築士としての再生の機会となった。

 

 青瀬は、自身の最高傑作「平成すまい200選」に掲載されるY邸を完成させた。

 しかし、吉野陶太が引っ越しをしていないことがわかる。

 

 Y邸には、ブルーノ・タウトの椅子だけが残され、青瀬は吉野の失踪について調べる。

 一方では、所長・岡嶋は、公共事業のコンペの指名をとるが、賄賂の嫌疑がかかる。

 

 以前、『半落ち』『クライマーズ・ハイ』も読みましたが、さすがに横山秀夫さんの作品は読み応えがあります。

 

 組織と個人をテーマとする横山氏の作品に「家族」への思いが混ざり合い、感動しました。

 

 タイトルの『ノースライト』が美しいです。

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【単行本】新潮社

 

【読書】『百貨の魔法』 村山早紀 著

【あらすじ&ひとりごと】

 

 風早のまちにある星野百貨店。


 古くから地元の人々に愛される老舗の百貨店を守ろうとする人たちの物語です。


 エレベーターガールの松浦いさな、百田靴店の咲子、贈答用フロア責任者の佐藤健吾、ドアマン、資料室社員などが、それぞれの視点から百貨店に起きる「不思議」を語っていきます。


 この百貨店には魔法の猫がいて、その姿を見ることができると、見たその人に奇跡が起きるという。


 そんなメルヘンチックでファンタジーなところと、社員の皆さんがお客様と百貨店を大切に思う気落ちが心を温めてくれます。

 

 とてもこの作品が好きです。

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【単行本】ポプラ社

 

【読書】『始まりの木』 夏川草介 著

【あらすじ&ひとりごと】

 

 不思議な物語でした。

 

 変わり者の民族学者と院生の教え子が研究にために日本各地を旅する物語です。

 

 はじめは、偏屈な民族学者に疑問を抱きながらも、徐々に読み進めるうち、寡黙の中に筋の通った人間性に惹かれていきました。

 

 こんな素敵な人に師事できるのであれば、学力だけでなく、人としての心も育てられるのだろうと感じました。

 

 教え子とウイスキーを飲む場面は、弟子としてすでに認めながらも、このとき完全に互いの師弟としての気持ちが繋がったような気がしました。

 

 読後感がさわやかです。

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【単行本】小学館



 

【読書】ツナグ  (続編)ツナグ 想い人の心得 辻村深月 著

【あらすじ&ひとりごと】

 

 辻村さんの作品が好きで、この作品のページを何気に目繰り返すと、最後まで読んでしまいました。

 

 この本は、10年くらい前の作品で、吉川英治文学新人賞受賞作品、映画化にもなりました。

 

 一生に一度だけ死者が望めば、願いを叶えてくれる「ツナグ(使者)」。

 

 急死したアイドルが心の支えだったOL、亡くなった母に癌の告知ができなかった息子などなど、、、

 

 心に後悔をもった人々が、偶然にツナグ(使者)と結び合い、仲介のもと生きる者と死んだ者が一夜のみ再会することができます。

 

 誰もが伝えられなかったことがたくさんあると思います。

 

 この世にいなくなってしまったからこそ、そう思うのかもしれません。

 

 心の隅に染みわたっていく感動の物語です。

 

 今、私なら誰と再会したいか。

 

 最初に浮かんだのは、やはり父です。

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【読書】『平場の月』 朝倉かすみ 著

【あらすじ&ひとりごと】

 

 朝倉かすみ氏の山本周五郎賞作品。

 

 主人公・青砥健将は50歳。

 父親が亡くなったことを機に、老いた母親を看るため地元に戻るが、妻子とも別れ、実家で一人暮らし。

 

 そんな中、検査で訪れた病院の売店で働く、中学の同級生・須藤葉子と再会し、2人の交流が始まる。

 

 大人の恋愛小説です。

 

 物語は、須藤の訃報を耳にするところから始まります。

 

 青砥の献身的な優しさ、須藤の発するひとつひとつのことばが深くて胸に響きます。

 

 青砥の覚悟を須藤は理解しつつも、青砥へ心を委ねる資格がないと自分を責める気持ちが悲しく伝わります。

 

 人それぞれ愛情の表し方は違いますが、二人の恋愛に後悔はなかったのか。

 青砥の心に残ったおもりは、いつしか軽くなっていくのか。

 そんなことを考えてしまいます。

 

 須藤の「ちょうどよくしあわせなんだ」ということばに、自身に与えられることができる幸せの大きさが感じられ、胸が痛くなりました。

 

 思いやりを与え合う二人の短い時間が心に沁みて、余韻が残る作品です。

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【単行本】光文社