【あらすじ&ひとりごと】 冒頭から、大型ショッピングモールでの大量無差別殺人が始まり、一人の人間の死の真相をめぐって、生き残った人たちが互いに嘘をつき、真実を隠す。そして結末を迎えるまで息をつかせない内容に、強烈な一撃を見舞われたような感覚…
【あらすじ&ひとりごと】 初めて読んだ伊与原 新さんの作品が『八月の銀の雪』。一話一話の短編集がどれも心地よくて、今回も期待して『月まで三キロ』を読みました。 本作品は、同様に六篇からなる短編集で、伊与原さんが大学で専攻されていた地球惑星科学…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その19 『子どもたちが屠殺ごっこをした話』第一話・第二話 【あらすじ(要約)】 第一話 西部フリースランド(オランダ)のフラネッケルという小都会で五~六歳くらいの男女の子どもたちが遊んでいました。 やがて子ど…
【あらすじ&ひとりごと】 九条時雨さんの作品『傷口はきみの姿をしている』を読みました。「高校生の心情を繊細に描く」という一文に、どんな青春群像が描かれているのか気になり読んでみました。 私は九条さんという作家さんを知りませんでしたので、巻末の…
【あらすじ&ひとりごと】 寺地はるなさんの作品は、べったこ (id:kuroneko356)さんがたくさん読まれていて、以前から私も読みたいと思っていました。 物語は日常的なことであるけれど、澄んだ言葉が心の中にあたたかく流れていくようで、とても心に響く清々…
とても暑くなってきましたね。私は毎朝90分ほど散歩していますが、朝とはいえ気温は上がっていてそろそろ暑さがしんどくなってきました。 いつも河川敷の土手沿いを橋から橋へ一周してくるのですが、最近よく鳴き声や姿を見かけるのがキジです。 私が住ん…
人生とは誰かに与えられるものではなく、自ら選択するものであり、自分がどう生きるかを選ぶのは自分なのです。 『嫌われる勇気』を読みました。 今回は【読書】というよりは【ひとりごと】です。 私は自己啓発本というものをあまり読んだことがないのですが…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その18 『なぞなぞ』〈KHM22〉 【あらすじ(要約)】 昔、ある国の王子が世界を見て回りたいと、家来を一人だけ連れ出発しました。 ある日、森へ入り日が暮れ、宿を探していると若くてきれいな娘が小さな家へ歩いていく…
文藝春秋(2019) 【あらすじ&ひとりごと】 出版されてもう4年近くたつ、川上未映子さんの『夏物語』。今頃になってしまったけど、ゆっくりとじっくり読むことができました。 人が生きていく中で、男性がいて女性がいる、そして仕事、出産、家族との生活な…
小学館(2017) 【あらすじ&ひとりごと】 ストーリーの進行のはやさに唐突感を抱きながら読み始めましたが、そのリズムに合わせていくと徐々に物語に吸い込まれていきました。 この序盤からおやおやという感じは何だろうと思いましたが、細かいことは気にせ…
歩くのにとてもよい季節になりましたね。 私は毎朝90分ほどウォーキングというか、散歩というほうが適当かもしれませんが、橋から土手沿いを歩き、次の橋を渡って反対側の土手沿いを進んで一周しています。 毎日歩いていると、土手沿いに咲き始めた菜の花…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その17 『灰かぶり』〈KHM21〉 【あらすじ(要約)】 お金持ちの男の妻が病気になり、死ぬときに幼い一人娘に、「いつも神様を大事にして、気立てよくすれば神様は助けてくれて、母さんも天国から見ている」と言い亡く…
ポプラ社(2013) 【あらすじ&ひとりごと】 中脇初枝さんの作品を読むのは3冊目。児童文学作家でもあり、童話や絵本も書かれています。 以前、『世界の果てのこどもたち』『きみはいい子』を読んで、子どもが生きる中で大人がどうあるべきかを描く物語がと…
小学館(2020) 【あらすじ&ひとりごと】 『祈りのカルテ』がドラマ化されていましたね。てっきり『十字架のカルテ』は、その後を描く「カルテ」シリーズかと思っていました。 今回は、院内のセクション、登場人物も変わり、精神鑑定医が主人公となり、犯罪…
私が前職で福祉のセクションに配属されていたときのことです。 昔から地域の生活を支えた歴史あるスーパーが昨年閉店となったことで、当時、そのお店に通っていたおばあさんのことを思い出しました。福祉の制度を利用しているおばあさんで、私はそんな方々を…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その16 『いさましいちびっこのしたてやさん』〈KHM20〉 【あらすじ(要約)】 夏の朝、ちびの仕立屋さんが一生懸命縫物をしていました。 そこにお百姓さんのおかみさんがジャムを売りに来たので買いました。 仕立屋さ…
角川書店(2021)【あらすじ&ひとりごと】 中島京子さんの作品は初めてです。直木賞受賞作品の『小さいおうち』のイメージだけで、今まで読んだことはありませんでした。 登場する人物は、それぞれ事情を抱える訳ありですが、味があってとてもユーモア。後味…
講談社(2019) 【あらすじ&ひとりごと】 読み始めて、刑事・加賀恭一郎シリーズだと気付きました。東野さんのこのシリーズは、『眠りの森』を読んだのみ。 映画では、『麒麟の翼』、『祈りの幕が下りる時』を観ましたが、原作は読んでいません。 『祈りの幕…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その15 『漁夫とその妻の話』〈KHM19〉 【あらすじ(要約)】 昔、漁師とおかみさんが、汚い小さな家に住んでいました。 ある日、漁師が釣りに出かけると、一匹のカレイが釣れました。 漁師はそのカレイを売ろうとしま…
双葉社(2020) 【あらすじ&ひとりごと】 読み心地がとてもさわやかな小説でした。 私が犬好きもあってか手にした一冊ですが、人と犬との共生を描くありがちな内容ではなく、18歳の高校生たちの決意や友情、恋愛、そして新たな出発を犬が静かに優しく見守っ…
講談社(2019) 【あらすじ&ひとりごと】 小野寺史宜さんらしい作品でした。 やはりテーマは「人と人との繋がり」。 私が言うのも変ですが、心に深く刻まれる文章というわけではない(と感じている)のに、人と人が触れ合っていくことによって起きる、さまざ…
渡良瀬川に架かる橋から見る初日の出(2023) 明けましておめでとうございます 本年もよろしくお願いします。 元旦は、お昼からお酒をいただきました。とても美味しい日本酒で、 栃木の「東力士純米極雫」と北海道の「十勝晴れ」です。 【那須烏山市のやや発…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その14 『わらと炭とそらまめ』〈KHM18〉 岩波文庫(1979) 【あらすじ(要約)】 どこかの村に貧乏なお婆さんがいました。 お婆さんはそらまめを煮るつもりで、かまどに火をおこして、わらをひとつかみ、くべました。 …
新潮社(2020) 【あらすじ&ひとりごと】 とても読みやすい、心に残る作品でした。 以前からずっと読みたいと思いながらも数年が経ち、やっと手にした一冊。 この作品は、茨城県牛久市を舞台にアラサーの女性を主人公として、恋愛や仕事、家族との関係に悩む…
角川文庫(2006) 【あらすじ&ひとりごと】 森山東さんの日本ホラー小説大賞短編賞『お見世出し』に続く2作目『デス・ネイル』を読みました。 16年前に刊行された文庫本です。表紙からすでにおぞましい雰囲気ですね。 本作品は、表題を含む四編からなる短編…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その13 『白へび』〈KHM17〉 【あらすじ(要約)】 昔あるところに賢い王様が住んでいました。 王様には変わった習慣があり、毎日お昼の食後、だれもいなくなると、信頼の厚い召使いが、もう一皿持ってきます。それには…
【あらすじ&ひとりごと】 はじめて読む青山美智子さんの作品、『お探し物は図書室まで』。 表紙の写真には本のほか、猫やカニ、飛行機などの羊毛フェルトが生きているようで、今にも動き出しそうです。 そして、帯には、「お探し物は、本ですか?人生ですか…
角川書店(2021) 【あらすじ&ひとりごと】 知念実希人さんの作品は、医療とミステリーの融合。 エンターテイメント性に富んだ作品は、東野圭吾さんのようで、どれもおもしろくて、リズミカルなテンポでサクサク読み進めることができます。 そして、ミステリ…
宝島社(2011 2019) 【あらすじ&ひとりごと】 タイトルの「カエル男」と、その表紙の可愛らしさが目に付き、手にした中山七里さんの『連続殺人鬼カエル男』、『連続殺人鬼カエル男ふたたび』。 ところが、頁を開いて各章のタイトルを見るともう戦慄は始まっ…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その12 『三まいの蛇の葉』〈KHM16〉 【あらすじ(要約)】 あるところに、貧しい男がいましたが、貧乏がひどくなり、ひとり息子を養えなくなりました。息子は、これ以上父親の重荷になるのがつらくなり家を出ます。 こ…