【あらすじ&ひとりごと】
人生の折り返しを迎える45歳になった大人たちが、高校最後の夏の日々に思いを馳せ、これからの人生に再び向き合う物語です。
薬剤師・種村久志は、親の代から町の薬屋として薬局店を経営するが、大手ドラッグストアの進出により経営が悪化し、創業以来の危機に瀕している。
地元に残る他の同級生も迷いながらも現状を変えられず漫然と生きている。
そこにかつての同級生・山際彗子が地元へ帰ってきた。国立天文台の研究員を辞め、この秦野市の丹沢山に手作りの天文台を建てるために帰ってきたという。
久志は、28年ぶりに再会したかつての仲間たちとともに、彗子の計画に力を貸すことになる。
同級生たちは、高校最後の夏の文化祭で協力して、オオルリを描いた巨大な空き缶タペストリーを制作した日々に思いを馳せながら、手作りの天文台を建てる中、あの夏の真実がやがて明らかになっていく。
迷える中年の大人たちの思いに共感します。何かをやり遂げるための目的や目標がなく、漫然と過ごす鬱屈した日々。虚無感というものでしょうか。「不惑」なんて言葉もあって、四十にして迷わずというけど、思春期ならず「思秋期」ですね。
行き詰った日々に向き合い、再び前進していくことに友人の存在は大きいですね。この先50代、60代、70代と未来は必ずある。私もがんばろう。
夏の夜空を眺めたくなる一冊でした。