【あらすじ&ひとりごと】
村山早紀さんらしい優しいタッチで、絵本のようで童話のようで、子どもの頃に読み聞かせをしてもらったことがあるような、温かい気分にさせてくれる作品でした。
本作品は、人の地にひっそりと暮らす魔女が、人々にそっと寄り添い見守り、傷ついた人に優しくおまじないをかけ、一つの望みを叶えてくれる物語です。
この作品に登場する魔女は、もちろん鷲鼻で黒いローブを着る老婆ではなく、見た目は高校生くらいの可愛らしい赤毛の少女と、銀髪が素敵な美しい高齢の女性。
それぞれが過去から現在まで出会った人たちの心に灯りをともしていく連作短編集です。
どの話も悲しみがあって、その現実を魔法でも変えることはできないけど、人や霊たちの悲しみが和らぎ、前を向けるよう魔女が未来に奇跡を起こす。
作者の思いを魔女にダブらせて訴えています。
昔から童話に登場する「魔女」とは、意地悪で主人公の邪魔をすることが多かったけど、人を愛し慈しみ、人が抱える悲しみの色を優しく薄めてくれる「魔女」も夢があります。
現実ではあり得ないことだけど、それが魔女ではなく人間が人間を慈しみ守ることは普通にできるはずです。
村山さんの優しい文章と不思議な世界観をぜひ子どもたちにも触れてもらいたい。小学校高学年なら、楽しく読むことができると思います。
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