ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】『凍りのくじら』 辻村深月 著

【あらすじ&ひとりごと】

 

 高校2年生の芦沢理帆子は、自分を取り巻くどんな相手にもあわせ、その個性に名前をつける。

 

 ドラえもんの作者 藤子・F・不二雄のつくるSF(少し 不思議)の世界。

 

 あの子は「少し 不安」「少し 不満」、そして理帆子自身は「少し 不在」。

 

 理帆子の父は藤子・F・不二雄を敬愛する写真家であるが、5年前に失踪、母は病床。

 

 ひとりでいても誰かといても息苦しいと感じる。

 

 理帆子は暗く冷たい深海で静かに見悶えているクジラなのであろう。

 

 その海の底に沈んだクジラに光を照らす。

 

 誰かが誰かに光を灯す。必ずどんな人にも気持ちを傾けてくれる人がいることに人は気付いてほしいと思います。

 

 これは忘れられない作品です。

 辻村氏の虜になる作品とも言えます。