【あらすじ&ひとりごと】
森見登美彦さんの『夜行』を読みました。
森見さんの作品は『聖なる怠け者の冒険』を読んで以来の二冊目です。
きっとまたあの独特の森見節なる言い回しで、読者の口元を綻ばせるような作品なのだろうと思っていましたが、今作品はがらりと変わり、恒川光太郎さんのホラー系ファンタジーを思い出しました。
京都で学生時代を過ごした仲間が再会し、「鞍馬の火祭」を見物に出掛けることになる。
それは、10年前にも訪れた際、仲間の一人が突然姿を消したことで、もう一度会えるかもしれないという思いを皆抱き、10年ぶりに鞍馬に集まることになった。
夜が更けるなか、それぞれが旅先で出会った不思議な体験・現象を語り出す。
そして、銅版画家・岸田道生が描いた48作にも及ぶ、いかにも妖しい画『夜行』が織り成す怪現象に六人の男女が翻弄されていく。
登場人物がそれぞれ語る奇怪なエピソードは、夢か現実か区別のつかない世界観ですが、なかなかおもしろいものでした。
10年前に突然失踪した一人は、いったいどこに消えたのか。
意外な展開へと物語は進んでいきます。
この不思議な世界はいったいどちら側なのか。
読後に混乱する頭を整理していると、やはりこれも森見さんのワールドだなあと思えてきます。
そんな小説でした。
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