【あらすじ&ひとりごと】
森山東さんの日本ホラー小説大賞短編賞『お見世出し』に続く2作目『デス・ネイル』を読みました。
16年前に刊行された文庫本です。表紙からすでにおぞましい雰囲気ですね。
本作品は、表題を含む四編からなる短編集です。
「デス・ネイル」
ある遺品の力によってカリスマへと上りつめたネイリストが、欲と高慢さによって転落していく。
「幸運を呼ぶ魚」
幸運を呼ぶ魚・アロワナを購入し振り回される父親の悲劇。
「月の川」
同じフロアのマンションに住む美人な人妻の得体の知れない恐怖。
「感光タクシー」
修学旅行に訪れた高校生が、班別行動のためタクシーに乗車するが、そこで悲しい事実が明かされる。
どの短編もシンプルなホラー作品でしたが、十分に気持ちの悪さは感じられる内容でした。
そして、どれも人間の妬みやあさましさが描かれていることで、不気味さが際立っています。
ただ、結末の描写が曖昧なところもあって、結果はわかるのだけれど、一体何がどうしてそうなったのかなぁと、理解しにくいところがあります。
それは読み手の想像するところで、あえてそんな描写なのかなぁ。
これで森山さんが遺された著作を二冊読むことができました。
最後の三作目『祇園怪談』が楽しみになりました。
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