ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】『デス・ネイル』森山東 著

角川文庫(2006)

【あらすじ&ひとりごと】

 森山東さんの日本ホラー小説大賞短編賞『お見世出し』に続く2作目『デス・ネイル』を読みました。

 16年前に刊行された文庫本です。表紙からすでにおぞましい雰囲気ですね。

 本作品は、表題を含む四編からなる短編集です。

 

「デス・ネイル」

ある遺品の力によってカリスマへと上りつめたネイリストが、欲と高慢さによって転落していく。

「幸運を呼ぶ魚」

幸運を呼ぶ魚・アロワナを購入し振り回される父親の悲劇。

「月の川」

同じフロアのマンションに住む美人な人妻の得体の知れない恐怖。

「感光タクシー」

修学旅行に訪れた高校生が、班別行動のためタクシーに乗車するが、そこで悲しい事実が明かされる。

 

 どの短編もシンプルなホラー作品でしたが、十分に気持ちの悪さは感じられる内容でした。

 そして、どれも人間の妬みやあさましさが描かれていることで、不気味さが際立っています。

 ただ、結末の描写が曖昧なところもあって、結果はわかるのだけれど、一体何がどうしてそうなったのかなぁと、理解しにくいところがあります。

 それは読み手の想像するところで、あえてそんな描写なのかなぁ。

 これで森山さんが遺された著作を二冊読むことができました。

 最後の三作目『祇園怪談』が楽しみになりました。