【あらすじ&ひとりごと】
ベストセラー『ひと』の著者・小野寺史宜さんの作品『君に光射す』を読みました。
人を助けて、自分も救われていく。ひとりでがんばる人たちにやさしいエールを贈る物語でした。
ある出来事をきっかけに小学校教師を辞めて、人との関わりを避けるように夜勤の警備員に転職した石村圭斗。
圭斗は商業施設の巡回中に、置引きをしようとした小学4年生の少女と出会う。他人と深く関わらずに生きようと決めていたはずだったが、その少女と出会い、自分の寂しい子供の頃の境遇と重ね合わせ、立ち止まっていた圭斗の心は揺れ動いていく。
小野寺さんらしい作品でした。不器用ながらも誰かを救いたいと思う姿に温かさを感じます。
人を助けることは大変なことです。どこまで踏み込むか。話を聞くだけで救われる人もいれば、ギリギリまで追い込まれて助けを求める人もいます。
そこで、自身の立場を失うかもしれなくても手を差し伸べられるか、というところですね。
公私が混ぜこぜになると、よいことをしても社会からは肩を叩かれます。世知辛いです。
人の心の中には、光と陰があって、明るいときもあれば、暗闇に沈むときもあります。生きている限り、その繰り返し。
居心地が悪くても手を拱いて何もしなければ、ずっとその陰の部分に居続けることになるでしょう。
でも、少しだけ体を動かし行動すれば、陽のあたるところへと行けるはず。そんな気持ちを持った人たちに光が射さない社会であってほしくないと感じた作品でした。