ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】『魔力の胎動』東野圭吾 著

角川書店(2018)

【あらすじ&ひとりごと】

 定期的に東野圭吾さんのエンターテイメント性に富んだ作品を読んで楽しんでいます。

 今回は『魔力の胎動』。『ラプラスの魔女』の前日譚です。

 

 本作品は、五編からなる連作短編集で、四編までは鍼灸師・工藤ナユタの視点で描かれ、不思議な力を持つ少女・羽原円華によって、悩める人たちが救われていく物語です。

 そして、最後の五編目が『ラプラスの魔女』へと繋がっていきます。

 

 円華が自然現象を予測する能力によって人が救われて、さらにはナユタ自身も問題を抱えていることに気付きはじめ、彼をも救っていく。

 社会問題も散りばめられ、東野さんらしさを感じます。

 

 そして、この物語を引き立てているのは円華のキャラですね。

 17歳の少女がとても論理的で、高慢な印象を抱かせるが、悩める人たちを救おうとする中には、誰よりも人の気持ちを考える優しい心が垣間見える。そんなところにやがて心が動かされていきます。

 

 円華の不思議な「力」とは何なのか。

 それは前作『ラプラスの魔女』で明かされています。

 

 刊行順ではなく、時系列に『ラプラスの魔女』(2015)よりも『魔力の胎動』(2018)を先に読むのもありかもしれません。

 

 東野さんの文章はサクサク読めて、そのうえ仕掛けの多さと切り込みにはハズレがありませんね。

 次は、8シリーズ目まで読んで、しばらくストップしているガリレオシリーズを読もうかなあと思います。