【あらすじ&ひとりごと】
人類滅亡まで五日間のカウントダウンミステリーです。
残された数日間のパニックを描いた作品は他作でもいくつかありますね。
小惑星「ダイス」が地球に接近し、衝突するかもしれないという「裁きの刻」までの残り五日間、女子大生・漆原圭子が殺された。
人類が終わりを迎えるかもしれないという恐怖に混乱する中、被害者の弟・亮(高校生)は地球が消滅する前に唯一の肉親である姉を殺した犯人を見つけ出し、復讐を決意する。
本作は医療ミステリーではありませんが、やはり作者が医師ならでは、肉親との依存関係や疾病、薬が事件の真相へと繋がっていきます。
犯人を追い詰めながらも真相は二転三転しますが、行き着くところは何となく予想した結末。
地球が滅亡するときは、亮は誰と一緒にいたいのか。圭子は誰と一緒にいたかったのか。
行き過ぎた姉弟愛、この姉弟の関係とその周囲を取り巻く人たちの異常性が事件を招いたのだけど、作者の狙ったそのテーマに何だか後味の悪さを残します。でも、犯人を追っていく緊張感や臨場感は頁を進めます。
そして、すべてが終わり、亮が戻ってきた場所から接近する「ダイス」を見上げるときの刹那には、残った後味の悪さは清々しさに変わっていました。