ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】『危険なビーナス』 東野圭吾 著

【あらすじ&ひとりごと】

 

 東野圭吾さんの『危険なビーナス』を読みました。

 本作品は、妻夫木聡さんの主演でドラマ化されているのですね。観ていませんが、妻夫木さんがあまりに爽やかなので、原作からは想像がつきませんでした。

 でも妻夫木さんならきっとドラマはドラマで素敵でしょうね。

 

 主人公である独身の獣医・手島伯朗にかかってきた一本の電話から事件が始まる。

 その電話の主は、伯朗の異父弟の明人と最近結婚したという楓という女性からで、明人が失踪したため、調査の手助けをしてほしいという。

 

 明人の失踪の原因は、莫大な遺産の相続人であることなのか、伯朗は楓とともに調べていくが、16年前に母・禎子が事故死したことも絡み合ってくる。

 そして、伯朗はしだいに魅惑的な楓に惹かれていく。

 

 ページが残り30ページで先の読めない展開でスリリングなミステリーでした。

 

 登場人物は、明人の父系は資産家で、とても個性的であり、疑っていくと誰もが怪しい。

 さらに、タイトルが『危険なビーナス』、ビーナスとはギリシャ神話で「美と愛の神」。やはり楓が重要人物だろうと読み進めていました。

 

 結末は、あっけなく意外な人が犯人で、どう最後に締めていくのだろうと思って読んでいましたが、最後の最後に東野さんの本当の結末が待っていました。

 とてもすっきりした読後感になりました。

 

 東野さんの文章は、とても滑らかで私には異物感がなく、エンタメのお手本のような文章で読みやすい。

 

 今回は、深刻なテーマを扱っていなくて、社会性はあまりなかったのですが、とてもおもしろかったです。

講談社(2016)