ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】グリム童話『おぜんと驢馬とこん棒』

『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その36

『おぜんと驢馬とこん棒』

【あらすじ(要約)】

 仕立屋さんに息子三人がいて、順番に世間に送り出し、誠実な仕事を習わせようとしました。

 手ぶらでは困るので、それぞれが卵焼きのお菓子と五厘銅貨を一つもらい旅に出ました。

 まず長男が小びとのところへ来ました。小びとはクルミの殻の中に住んでいましたが、大金持ちでした。

 小びとは「私の羊たちの番をして、山の麓で草を食べさせてくれるならいいものをあげる。でも、山の裾野の家は賑やかなので、もしその家に踏み込んだら縁切りだよ」と言いました。

 長男は承知し羊の番をしますが、その家からは遠ざかっていました。

 ところがある日曜日、その家から賑やかなのが聞こえ、一度くらいは数に入らないと考え、家に入り込み遊びました。

 やがて外に出てみると、闇夜で羊たちはいなくなっていました。

 小びとに自分のしたことを隠さずに話しました。小びとは腹を立てましたが、長男がそれまではきちんと勤めをやっていたのと、過ちを正直に白状したことに免じて、「おぜんやごはんのしたく!」というものをあげました。

 長男はうれしくなって父親のもとへ帰ることにしました。

 途中、ある宿屋へ泊まると、長男は食べ物はいらないと言って、一人部屋に閉じこもりました。宿の亭主は奇妙に思い、鍵穴からその部屋を覗いてみました。すると、客が「おぜんや、ごはんのしたく!」と言うと、すぐさま上等な料理とお酒が出てきたのです。

 こんなお膳なら自分が持っていたほうが重宝だと亭主は考え、客が寝込んだ隙にお膳を盗み出し、瓜二つの別のお膳を代わりに置きました。

 明朝、長男は自分が騙されたとは気付かず、宿をたちました。

 家に帰り、父親に話すと喜んで、早速その不思議なことを試してみることにしました。ところが、「おぜんや、ごはんのしたく!」といくら唱えてもお膳は空っぽです。長男は今になって自分が泥棒にあったことがわかりました。

【ひとりごと】

 これから先は、二男と三男が旅に出て、長男と同じようにクルミの殻の小びとに雇われ、同様に二男は勤めにしくじり、それでも「金貨を産む驢馬」をもらいますが、宿屋に騙されます。三男は危ない家の誘惑を逃れ、勤めを終え「魔法の棍棒」をもらい、兄たちが騙し取られた宝物を取り戻し故郷へ帰ります。そしてめでたしめでたしとなります。

 話の続きは『おぜんや御飯のしたくと金貨をうむ驢馬と棍棒ふくろからでろ』と大筋は同じです。違うところは、息子たちの修業に出る理由と勤め先、危ない家の誘惑。

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