ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】『草祭』 恒川光太郎 著

【あらすじ&ひとりごと】

 

 恒川光太郎さんの日本ホラー小説大賞受賞作『夜市』を読んでから、恒川さんの独特の幻想的なファンタジーにハマったときがあり、その後『雷の季節の終わりに』『秋の牢獄』も読みました。

 久々、本屋さんで本作が目に留まり購入しました。

 

 本作は五編から構成される短編集です。

 

 収録作品は、「けものはら」「屋根猩猩」「くさのゆめものがたり」「天化の宿」「朝の朧町」。

 

 ストーリーにつながりはなく、共通点は場所だけで、いずれも「美奥」という名前の田舎町を舞台に描かれています。

 

 団地の奥から用水路をたどっていくと、そこは見たこともない野原で、「美奥」という不思議な土地があり、消えたクラスメートを捜す中学生、過去から逃げる女性など、異界に触れた人々の物語です。

 

 恒川さんの作品に考察はしないようにしています。

 つい現実の目を向けてしまいがちになりますが、この幻想性を楽しみ、豊かな感性に酔いしれています。

 

 以前読んだ『夜市』が心に強く残っているため、物足りなさは否めませんが、また「恒川ワールド」にハマる予感がしました。

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新潮社(2008)