【あらすじ&ひとりごと】
青山美智子さんの作品は、自身のプライドや卑屈さでいつしか忘れてしまった大切なことに気付かせてくれる、そんなあたたかな物語です。
『ただいま神様当番』を読みました。『お探し物は図書室まで』もよかったですが、こちらも同様に何気ない普段の生活の中での「生き方」というものに気が付かせてくれます。
朝のバス停で同じ時刻のバスを待つ5人(幸せを待つOL、弟にうんざりの小学生女子、リア充になりたい男子高校生、乱れた日本語に悩む外国人教師、零細企業のワンマン社長)がそれぞれ主人公になる連作短編集です。
ある日突然、バス停に置かれた忘れ物を拾うと、主人公は「神様当番」に選ばれ、ジャージ姿につるつる頭、耳の脇に綿飴のような髪をした神様が現れた。
そして、左腕には「神様当番」の文字が浮かび上がり、神様のお願いごと、楽しませてあげなければその文字が消えず、当番が終わらないというユニークな物語です。
バス停に置かれた忘れ物とは、それぞれの主人公が欲しかったもの。神様が現れると、手にしたそれらは、しまったはずのカバンの中から消えてしまうのだけど、きっとそれらは本当に必要な物ではない物なのかな。
大切なのは、物で心を満たすのではなく、地に足をつけて、人は心の持ち方で人生を前向きに変えていくことだと思いました。
きっとこの「神様」は、自分自身、自分の心だったのかなと。
生き方に躓いたら、今一度地に足をつけ直して忘れかけた大切なものを思い出したいですね。