【あらすじ&ひとりごと】
ストーリーの進行のはやさに唐突感を抱きながら読み始めましたが、そのリズムに合わせていくと徐々に物語に吸い込まれていきました。
この序盤からおやおやという感じは何だろうと思いましたが、細かいことは気にせず、ストーリーを追っていくと、主人公のもとに猫が現れ、本が閉じ込められた迷宮へといざない本を解放するという、とても微笑ましく暖かい物語でした。
本を愛する引きこもりの主人公・夏木林太郎(高校生)は、古書店を経営する祖父を亡くし、一人ぼっちとなるが、叔母に引き取られることになり、引っ越しまでの間、人間の言葉を話す猫が現れ、不思議な世界に閉じ込められた本を解放するための迷宮への冒険が始まる。
猫に導かれ、向かうのは5つの迷宮。林太郎は、それぞれ本に対する考え方が異なる人物と向かい合い、本来、本の持つ力や価値を訴え対決します。
ミッションに失敗すると本の解放どころか元の世界にも戻れない。だんだん相手が手強くなってきて、林太郎が述べる本に対する熱い思いは、本好きにはたまらない言葉だと思います。
本を速読し、あらすじを追って、おもしろかったという読み方についなりがちですが、本そのものを大切に扱い、本の持つ知識や知恵を与えてくれる力を意識しながら、言葉や文章を深く読みこんで、この世界に浸ることも大切なことなのだと思いました。
そして本には「人を思う心を教えてくれる」のだと。人を思いやる心はだれでも持っているものだけど、慌ただしい世の中で忘れてしまっている人もいるかもしれません。多くの人が本を大切にして、読み続けてくれれば優しい世の中になりそうですね。
私も時間がある限り、本は読み続けていきたいと思っています。