ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】『この世の喜びよ』井戸川射子 著

【あらすじ&ひとりごと】

 芥川賞作品を久々に読みました。とは言っても、今まで数える程度しか読んだことはありません。

 記憶にあるのは、『コンビニ人間』や『火花』『スクラップ・アンド・ビルド』、古い作品では、『限りなく透明に近いブルー』『海峡の光』など。正直、あまり心に残っていません。

 読みとるのに難しいという印象が強くて、手を伸ばしづらいイメージが私にはあります。皆さんはどうでしょうか。

 

 井戸川射子さんの『この世の喜びよ』を読みました。

 

 ショッピングセンターの喪服売り場で働く主人公・「あなた」は、フードコートでいつも見かける中学生の女の子と知り合う。

 そして「あなた」が、少女との語り合いから、かつての自分の子育ての日々や、これまでの生き方など、ありがちな日常を穏やかに回想していくという物語です。

 表題作のほか、「マイホーム」「キャンプ」を収録した3つの作品集です。



 この普通の日常生活を綴っていて、それが淡々としているのだけど、読中読後の気持ちが波打つような感覚が残るのは何なのだろう。そんな小説でした。

 それは、井戸川さんが詩人としての独特な文章と間合い、句読点は独特、そこがとても魅力的で、自分で不思議に思うざわざわ感を起こさせているのかな。

 まるで感覚的には詩、心に囁く日記のような。

 

 感じたことを書いてみたけど、やはり凡人の私には深く読みとれない。この作品について言葉にするのは難しいなあ。

 でも久しぶりに芥川賞作品を楽しむことができたので、まずは良しとしよう。

 次も手元に『荒地の家族』があるので、前向きにもう暫くしたら読んでみようと思います。