【あらすじ&ひとりごと】
湊かなえさんの『山女日記』を読みました。
ドラマにもなっていて、私は観ていないのですが人気だったようです。そして、原作本の続編も昨年出ています。
湊さんといえば「イヤミス」を楽しむ。楽しむといったら少し嫌らしいですが、人の心の奥底にある気持ちが露骨に出され、何となくモヤモヤするこの後味の悪さが癖になって、ときどきは読みたくなります。
でも本作品は、主人公のそんな心の見え隠れはあるけれど、いつもとは違い、心の清涼剤となった物語でした。
本作は七編からなる連作短編です。
タイトルが『山女日記』、各編のタイトルも山の名前になっていて、悩みを抱えるそれぞれの主人公女性がそれらの山を登り、その一歩一歩がやがて自分なりの光へとたどり着く。そんな女性の心理を描いた物語です。
山に限らず、自然の中に身を置くことは、自身の揺らぐ気持ちが明確になったり、悩みの解決口が見えてきたりして、心が晴れていきます。
私も趣味とまではいきませんが、上高地や乗鞍岳、美ヶ原、高尾山など、いくつか歩いたことがあります。普段は河川敷を歩いたりして考えをまとめたりしています。
そういう経験を私だけではなく、誰しもしていると思うので、この作品に登場する人々が山を登っていくことで心が変化していく様子を見守るような気持ちで読んでいました。
やはり一歩を踏み出すことが大切なのでしょうね。またゆっくりと続編を読んでみたいと思います。