ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】グリム童話『わらと炭とそらまめ』

『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その14

『わらと炭とそらまめ』〈KHM18〉

岩波文庫(1979)

【あらすじ(要約)】

 どこかの村に貧乏なお婆さんがいました。

 お婆さんはそらまめを煮るつもりで、かまどに火をおこして、わらをひとつかみ、くべました。

 そらまめをお鍋にあけるとき、滑り落ちた一つが土間へ落ちると、わらの隣へ転がりました。

 それから、炭が一つはねて、その隣に転がって行きました。

 わらがどこから来たのかと聞くと、炭が火の中から跳ね出してきた、このままだと灰になるところだったと言います。

 そらまめもぐつぐつ煮られてドロドロになる前に逃げ出してきたと言いました。

 

 すると、わらが自分の兄弟は、婆さんが一つ残らず火をつけて煙にしてしまったが、自分は運よく指の間から滑り落ち、これからどうしたらいいんだろうと言いました。

 そらまめは、もう少しで死ぬところを運よく逃れたんだから、みんなで友達になって、一緒にどこかの国に出かけたらどうかと言い、三人で旅に出ます。

 

 小さな川の岸に来ましたが、橋はなく丸太も横になっていないので渡れません。

 そこでわらが、自分が横に寝転び、向こう岸まで橋を作りました。

 炭はもともとせっかちなため、この橋を駆け出しました。

 しかし真ん中まで来て、足元に水が流れている音を聞くと、怖くなって立ち止まってしまったため、ここでわらがぱっと燃え出し、二つに切れてしまい、小川の中へ落ちてしまいました。

 すると炭も一緒に足がすべって、水へ入るなりじゅうっといって、お陀仏になりました。

 

 そらまめはこっちの岸でそれを見て大笑いし、いくら笑っても笑いが止まらず、笑いすぎて体がぱちーんと破裂しました。

 このとき、修行中の仕立て屋の職人が近くにいたので、幸いにそらまめは助かりました。

 もしそこに職人がいなかったら、そらまめもわらや炭と同じように寿命がなくなるところでした。

 職人は情け深い人で、すぐに針と糸を取り出して、豆の綻びを縫い合わせました。

 豆は職人にお礼をのべました。けれども、職人が黒糸を使ったのでそれからというもの、そらまめは真っ黒な縫い目があるのでした。

 

【ひとりごと】

 グリムでもこんな話があるのですね。まるで日本の物語のようです。

 そら豆に黒い線が入っているのは、笑いすぎて体が裂けたときに黒い糸で縫ったからというのが、何とも愉快なオチですね。

 でも、人の失敗を笑った結果がこれです。明日は我が身で、決して人の失敗を笑ってはいけませんね。気を付けましょう。

 

 今年も私のひとりごとにお付き合いいただいて、ありがとうございました。

 また来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 皆様もよい新年をお迎えください!