ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】グリム童話『三いろの言葉』

『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その31

『三いろの言葉〈KHM33〉』

【あらすじ(要約)】

 昔、スイスに年をとった伯爵が住んでいました。

 息子は一人しかいないのですが、何一つ覚えられないバカ息子なのです。

 父親は「ここを出なさい。おまえを評判の高い先生に預けて何とかしていただく」と言い、息子は見知らぬ都へ送られ、先生のもとで1年過ごし帰ってきました。

「何を習った?」と父親がたずねました。

「犬がわんわん鳴く言葉を習いました」と息子はこたえました。

 伯爵は情けなく思い、また別の先生のもとへ息子を預けました。

 

 息子はまたその先生のもとで1年過ごし帰ってきました。

「何を習った?」と父親がたずねました。

「小鳥が物を申す言葉を習いました」と息子はこたえました。

 伯爵は腹を立て、次も何も覚えないようなら、自分の息子ではないと言い、三番目の先生のもとへ息子を預けました。

 

 息子は1年後に帰ってきました。

「何を習った?」と父親がたずねました。

蛙たちがクワーククワークと鳴く言葉を習いました」と息子はこたえました。

 これを聞くと父親は火のように怒り、家来たちを呼びつけ、今日限り息子ではない、森へ連れていき、命をとるよう命じました。

 家来たちは息子を森へ連れ出しました。けれども、かわいそうに思って逃がし、代わりに鹿の目と舌を切り取って、証拠に持ち帰りました。

 

 若者は歩きまわり、お城にやってきて、一晩の泊まりを頼みました。城主はもし下の古い塔に泊まるのでよければと言いました。

 その塔には山犬がたくさんいて、ひっきりなしに遠吠えをする。時間になると人間も食べてしまい、その一帯は憂いに沈んでいて、誰もどうすることもできないということでした。

 ところが若者は怖いものなしで、犬たちに与える餌が欲しいと頼み、塔に行くのだと言って聞かないので、連れていきました。

 若者が中へ入ると、犬たちは吠えるどころか尻尾を振りながら、餌を食べるばかりでした。

 

 翌朝、若者は犬たちから聞いたことを城主に話しました。

 犬たちが話したことは、魔法をかけられていて、塔の地下室にある宝物の番をすることになっている。その宝が取り出されるまでは落ち着けないのだという。

 そして、若者はその宝を取り出す方法も犬たちから聞いていると。

 城主はもしそれをうまくやり遂げたら、若者を養子にすると言いました。

 若者はすべてをうまくやりとげ、犬たちもいなくなり、その国は救われました。

 

 しばらくして、若者はローマに行ってみたくなりました。

 途中で沼の脇を通りかかると、蛙たちがいくつもいてクワーククワークと鳴いていました。話し合ってることを聞き取ると、若者は考え込んでだんだん陰気になりました。

 やがてローマへ着きますが、ちょうど法王が亡くなったところで、大僧正は誰を跡継ぎにするのか迷っていました。

 神の奇蹟が現れる人を法王に選ぶことが正しいということに意見がまとまりました。

そして、このとき若者が会堂へ入ると、白い鳩が二羽、若者の両肩にとまってしまいました。

 坊さんたちは、神の奇蹟だと言って、若者に法王になっていただけないかとたずねました。若者は、自分が偉いものになれるのかわからないので、心を決めかねていましたが、鳩たちがおやんなさいと勧めましたので、承知しました。

 

 若者はお聖めの式を受けました。これで若者が途中で蛙から聞いて、どうしたらいいか当惑したことがそのとおりになったのです。蛙たちは若者がローマ法王になる運を持っていると話をしていたのでした。

 法王になると、経文を唱えなければならなかったのですが、若者は言葉を一つも知りません。けれども例の二羽の鳩が肩にとまり、すべて耳へ言って聞かせてくれるのでした。

 

【ひとりごと】

 動物の言葉を理解できるようになった若者が、強運もあって成功する物語でした。この超能力があるだけで、すばらしいですね。私も動物が何を思い、訴えているかを知りたいです。

 でも、人は人の言葉を覚えることが当然最初ですね、ずっと何かに頼って物事を成し遂げるのでは、自分の存在がわからなくなりますからね。

 ただどんなことでも学ぶことに無駄はないということでしょう。