ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】『傷痕のメッセージ』知念実希人 著

角川書店(2021)

【あらすじ&ひとりごと】

 知念実希人さんの作品は、医療とミステリーの融合。

 エンターテイメント性に富んだ作品は、東野圭吾さんのようで、どれもおもしろくて、リズミカルなテンポでサクサク読み進めることができます。

 そして、ミステリーのなかにもハートフルな展開があり、読者を飽きさせない魅力があります。

 

 主人公の医師・水城千早は、父・穣が「死んだらすぐに遺体を解剖して欲しい」という遺言から、病理医の友人・紫織とともに遺体を解剖することになる。

 父の胃の内壁には、内視鏡によって暗号が刻まれており、紫織と協力しその暗号を読み解こうとする。

 そこには、28年前、穣が追っていた連続殺人事件に関係していることがわかり、そして、当時と酷似した殺人事件が新たに発生する。

 

 複雑さを求めるためか、ストーリー設定に少し無理があったような気もしますが、最後の最後まで、主人公と犯人が対峙しているなかでも、読者に犯人が誰なのかわからないように書かれていて、気持ちが逸りながらも楽しむことができました。

 

 そして、秘められた謎が解け、隠された真実が明かされたときには、涙します。

 親子の絆、友人の絆、本作品もハートフルな内容でした。

 

 知念さんの作品は、ますます進化して、メッセージを受け取るのが楽しみになってきます。