【あらすじ&ひとりごと】
知念実希人さんの作品は、医療とミステリーの融合。
エンターテイメント性に富んだ作品は、東野圭吾さんのようで、どれもおもしろくて、リズミカルなテンポでサクサク読み進めることができます。
そして、ミステリーのなかにもハートフルな展開があり、読者を飽きさせない魅力があります。
主人公の医師・水城千早は、父・穣が「死んだらすぐに遺体を解剖して欲しい」という遺言から、病理医の友人・紫織とともに遺体を解剖することになる。
父の胃の内壁には、内視鏡によって暗号が刻まれており、紫織と協力しその暗号を読み解こうとする。
そこには、28年前、穣が追っていた連続殺人事件に関係していることがわかり、そして、当時と酷似した殺人事件が新たに発生する。
複雑さを求めるためか、ストーリー設定に少し無理があったような気もしますが、最後の最後まで、主人公と犯人が対峙しているなかでも、読者に犯人が誰なのかわからないように書かれていて、気持ちが逸りながらも楽しむことができました。
そして、秘められた謎が解け、隠された真実が明かされたときには、涙します。
親子の絆、友人の絆、本作品もハートフルな内容でした。
知念さんの作品は、ますます進化して、メッセージを受け取るのが楽しみになってきます。