散歩をはじめて一年が過ぎました。
お決まりのコースができ、普段何気なく見ている風景や街並みの中に新しい発見があります。川の土手沿いを歩き、風を体に受け、まちのにおいを感じる。風とともに体の中が循環していきます。
小さな川沿いの土手を歩いているときにおじいさんと会い、「散歩かい?」と声を掛けられました。時間のあるときにときどき歩いていますと答えると、「いくつだい?」と聞かれ、年齢を答えると、「うちの息子よりいくつか若いな。今東京に住んでいるんだけどね」と。
「俺はそこの家に住んでいるウケタケというが、一人暮らしの85歳、元気だよ。握手、手を握ってみてくれ」と言うので、握り返すと「強く、もっと、もっと」と。
力強いですね、鍛えているのですかとたずねると、「若い頃いろいろやっていたからね」と。
「うちに刀があるんだけど、見ていかないか」と言われるが、また今度お会いしたときにと伝え、おじいさんとは別れました。
その後、おじいさんとは会っていませんが、明かりの灯ったおじいさんの自宅の横を散歩しながら、息子さん家族は、今度はいつ帰ってくるのかなぁと、ひとり考えています。