ふでモグラの気ままな日常

読書をこよなく好む早期退職した元公務員が、読んだ本の紹介を中心に、日頃気づいたことや感じたことなどについて、気ままにひとりごとを発信する雑記ブログ

【読書】『祈りのカルテ 再会のセラピー』知念実希人 著

【あらすじ&ひとりごと】

 今回は、知念実希人さんの『祈りのカルテ 再会のセラピー』

 研修医・諏訪野良太が、患者のたちの心の謎を解き明かす医療ミステリ。『祈りのカルテ』に続く第2作です。

 

 本作では、循環器内科医となった諏訪野が、同期の小鳥遊(たかなし)、研修医の鴻ノ池と学会終了後に居酒屋で飲みながら、自身のかつての研修医時代のエピソードを回想する形で物語が進行します。

 3編が収録されていて、それぞれがヒューマンドラマとちょっとしたミステリ要素を兼ね備えた作品です。

 

①「救急夜噺」

 元やくざが救急搬送され、原因不明のけいれん発作を起こす。諏訪野は不審を抱き、彼の行動や過去について探っていく救命救急部を舞台としたストーリー。

②「割れた鏡」

 元アイドルで売れない女優が何度も整形手術を繰り返す。諏訪野は彼女の背後にある心の傷に迫る形成外科を舞台としたストーリー。

③「二十五年目の再会」

 25年前に起きた1億円現金盗難事件の冤罪を訴える余命わずかな患者。その無念を晴らすため、諏訪野は過去の事件の真相を探る緩和ケア科を舞台としたストーリー。

 

 本作のテーマは、「家族愛」

 患者の心に寄り添いながら、謎を解き明かす諏訪野のやさしさが印象的ですね。

 特に3話目は、過去の事件の真相を探る中で、さらなる真相があらわれ、こんなラストが待っているとは思いませんでした。

 各話に共通して描かれている「家族愛」。読後には温かい余韻が残ります。ミステリ要素とヒューマンドラマが融合した作品で、心を癒す医療ミステリとしてとてもおもしろかったです。