【あらすじ&ひとりごと】
現代に生きる人たちが、心の隅にある寂しさに人と心を通わせようとする、そんな素敵な五編からなる短編集でした。
「真夜中のアボガド」「銀紙色のアンタレス」「真珠星スピカ」「湿りの海」「星の随に」の五編が収められています。
どの短編も星座のエピソードを交え、かけがえのない家族・人間関係、そして恋人など、思うようにならない心を綴る物語です。
読みながら、何でこんな展開になるのって思いながら(これがストーリーとして良いところなのですが)、さわやかにさらりと綴られていくストーリーに、心がキュッとなります。
星座は星と星が線で繋がれるもの。そしてベガやデネブ、アンタイル、アンタレスなどの星座となってさらに美しく輝いて私たちに輝きを見せてくれる。
人もそんなふうに繋がっていくことが生きていくために必要なのかなと感じました。
星々は、どんな悩みを抱えている人にも平等に輝き照らしていて、人が悩み心が瞬くときもそっと星は寄り添い、星もまた同じように瞬きながら思いを受け止めるくれるような、そんなやさしい物語でした。